トランクを現在制作中です。革はブッテーロのワイン。ステッチは薄ピンク。総手縫いなので手縫いの定番の麻糸使っても違和感は生じないけれど、糸色優先でビニモの1番の太い糸。ビニモの方が丈夫な糸なので、手縫いは麻糸というこだわりは私の場合持っていません。ワイン色の革に薄桃色のステッチで縫い上げると、白ステッチがワイン色の革で少し染まったような味わい。久々の大物なので、作りながらドキドキしています。
トランクはアタッシェと違い、木箱に革を貼って組み上げるのではなくて、厚ボール紙を何重か貼り合わせ金属枠で補強して、その上に革を貼って作り上げます。木箱に革を貼るアタッシェの方が丈夫そうに思うでしょうが、耐久性はトランクの方があると思います。骨董屋さんには明治、大正時代に作られたトランクは今も売っていますが、アタッシェは見ません。それは弾力性の違いが大きい。トランクは柔軟に衝撃を逃がしますが、、アタッシェは一定以上の衝撃が加わると修復不能な状態を生じてしまう。日本のトランクは100年以上前イギリス製のトランクを見本に日本でも作られるようになったのだけれど、現存するトランクの大部分は日本製です。それは日本の職人さんの工夫が大きい。トランクを作り始めた頃、古い日本製のトランクを分解してみた事があるけれど、芯材の厚紙に何重にも新聞紙を大和糊で貼り合わせているのを見た時、その工夫と手間をかけた仕事に頭下がる思いを感じた。そんな見えない工夫が永遠の命を宿したトランクを生む。
トランクはアタッシェと違い、成型しながら重ね貼り合わせて強度を高めていきます。私は手縫いはあまりしない鞄職人ですが、トランクを組み上げる時は強度を高めるためオール手縫いでの組み上げです。なので時間はいっぱいかかってしまいます。せっかく手縫いで組み上げるので、手縫いでないと生まれないフォルム意識して組み上げています。革を曲げが可能なギリギリ厚い状態で貼って、曲げた場所が直線的でなく、外へ向かって広がるような曲線持った箱になればと工夫試みています。上の写真だとよく分からないと思いますが、本体正面部分も四方から中心に向かって小山のような膨らみ生む工夫してみました。
力仕事で外観が思い描くカタチになれば、その後の仕事は丁寧に完成目指す。私は戦前のファスナー使った鞄がなかった時代の鞄たちが好きです。そんな鞄たちを私なりの解釈加えて復刻したいという思いも持っています。鞄作れるのもあと10~15年。作りたい鞄を我儘に作り始めないと。今ワクワクしながらトランク作っています。
トランクですか。素敵ですね。特に真ん中がふくらんでいるなんていいですね。クリスペルカーフのピッコロのふくらみにはなにしろ参りましたから。ファスナーのない鞄っていいですね。ファスナーのある鞄も好きなんですが・・・この色の組み合わせはGOODですね。
Re: ボンジョルノより
外に向かって広がる感じの鞄になるよう、パターンや縫製方法を意識して作っています。結構力技になります。でも楽しいです。