
ル・ボナーのレディースバッグを代表するカタチ「ティア」です。
このカタチの原型はフランス・H社のガオGaoというバッグですが、
まるで別物へと昇華出来ている思っています。
ハミの鞄職人としての技量が遺憾無く発揮されたカタチです。
内縫いが生み出すふくよかなボリューム感と、
強度を必要とする部分の優美な頑強さが合間って、
特別なフォルムが生まれる。
こういった表情ある内縫いはハミの真骨頂。
私はこのカタチ造り出せない。
ハミが「ティア」を作り始めて、もう7年ほど経っています。
5年ほど前に購入された「ティア」がメンテナンスで戻ってきました。

革は年月経つと痩せてきます。
少し不安を持ちながら包みを開けました。
包みから解放されたティアは、5年使い続けられたとは思えないほど凛としたカタチ。
革の表面の汚れが気になるとの理由でのメンテナンス依頼。
内縫いのバッグの問題点である角の擦り切れも発生していなくて、
それ意外に手を入れる部分はない状態だ。
ネイビーのシュランケンカーフも水拭き乾拭きを繰り返して、
少しデリケートクリームをすり込んであげれば、
購入時の状態に限りなく近づくはず。

革は5年も経つと少し痩せているはずです。
でもショルダーの付け根のボリューム感も、
玉ブチより本体がせり出すふくよかなフォルムも変わらない。
贅沢な裁断、楽しない縫製がそれを可能にしているのだと思う。
それと使う人の愛情が加味して特別であり続ける。
作った品がこういった形で里帰りし、
しばらくの休息の日々を過ごした後、
また一緒に思い出共有する御主人の元へ。
それを見届けられる作り手は幸せだ。
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