ル・ボナーの一日
ボックス革の魅力感じながら、なぜか赤ステッチ
2010年05月15日
もう何年経っただろうか。イタリア・フラスキーニ社のデッドストックのブレンダボックス革で作った折財布をお買い上げ頂いたお客様に、それと同じ革でロールタイプのペンケースを作って欲しいと頼まれ遅くなりましたが作りました。これは濃いグリーン色です。素敵な微妙な色出しされた革の色と質感を伝える写真を撮るのは本当に難しい。出来上がったロールタイプのペンケースは、秋に一挙登場予定の革小物シリーズの「ZANSHIN 残心」でも同じ仕様で登場させる予定。ただフラスキーニの最後の傑作であるブレンダボックスというボックスカーフ系のクロームなめし革では登場させるだけの革は残っていません。
出来上がってそのねっとりした質感と深い色合いに改めて感動した。イタリア人が思い描く本当の高級革の答えがあるように思えた。素晴らしいクロームなめしの革を少し前までイタリアでも作っていた。ムスタング、ビューカーフ、パペーテ、そしてブレンダボックスなど、フラスーキーニの作るクロームなめし革は本当に特別だった。しかし今はもう作っていない。
今私は秋登場させる革小物シリーズの「ZANSHIN 残心」のサンプルを、自らモニターになって使っている。何種類かの革で作る予定にしているけれど、その中のドイツ・ペリンガー社の作るクリスペルカーフで作ったサンプルを使い始めた。使い始めて実感した。この革本当に凄い。
使い手の接し方で差異が出る良いタンニンなめしの革とは違い、良いクロームなめしの革は新品時に「私は良い革です」と主張していて、その状態を維持する工夫をしながら楽しむ革です。クリスペルカーフは現在も生産されているクロームなめしの革の中で、最も凄みを感じる革だと私は思っている。過去にはいっぱい素敵なクロームなめしの革はあったけれど、今は本当に少なくなった。
そんな魅力を感じている革たちの質感を最大限生かす事を主眼において、秋発売予定の革小物シリーズ「ZANSHIN 残心」は発想した。使い勝手を犠牲ににせず、最小限のステッチングで組上げたパターンの妙。クリスペルカーフの生ゴムのようなコシ感と漆塗りのような表面の上質さを伝える上で、この革小物シリーズのコンセプトには最適にマッチングしていると思う。
それにしてもなぜなのだろう。ル・ボナー界隈では大ブームが発生している黒革に赤ステッチに対して少々否定的であったボンジョルノだったはずだのに、なぜか日々使う品を見渡すと多くなっている。それも凄く気に入ってしまっている。
そして気にもかけていなかったのだけれど、我が愛車のアルファロメオの内装は非常にチープなのだけれど、ステアリングとシフトノブだけは非常にフィット感のある黒のイタリアンレザーで、大変気に入っているのだけれど、そのステアリングとシフトノブをよく見るとなんとこれも赤ステッチだったのだ。
クリスペルカーフのネットリした肌触りに酔い、黒革に赤ステッチの誘惑が重なり、この「ZANSHIN 残心」シリーズは革の素敵を表現する方法論として間違っていないと確信しました。
このシリーズの詳細は7月中頃詳しくこのブログにて公開します。
そして発売開始は8月末頃からの予定です。
Le Bonheur (21:50) | コメント(1)
名刺入れの引き取りが遅くなり申し訳ございません。今月中には行かせて貰います。さて、黒革の赤ステッチっていいでしょう?馴染むとまた独特の風合いで大のお気に入りです。8月が楽しみです。
Re: しげお さん
お待ちしています。
それにしても黒革に赤ステッチに私も侵食されつつあります。特にこのクリスペルカーフに赤ステッチには参りました。良いバランスですよ。今度来店時に見てください。
ル・ボナー松本