ル・ボナーの一日

オール革の最薄革小物への挑戦

2010年02月23日

10%E5%B9%B4%EF%BC%91%E6%9C%88%20204.jpg チャーの仕事場での寝床の位置を変えた。 このところ店内まで日が差し込む午後になると、勝手にお店側の玄関口あたりで日向ぼっこするようになってしまった。これではお客様があまり来ないお店だといってもいけません。ますます入りづらいお店になってしまう。そこでハミの仕事机の下の引き出し部分を移動して、そこをチャーの寝床にした。ここだと外が見えるし、ハミと私の仕事机の中間に納まった状態で、淋しがり屋のチャーも気に入るはず。案の定寝床移動計画決行後、お客様が入ってくると「おやつくれぇ~!」と吠える悪知恵が定着してしまったチャーではあるけれど、いつもよりそのトーンが弱いような。相当気に入っているようだ。 10%E5%B9%B4%EF%BC%91%E6%9C%88%20198.jpg 多くの皆様方にお待ち頂いていながら、 製作が遅れに遅れている名刺入れの試作が出来上がりました。 今まであったル・ボナーの名刺入れと同じに見えるけれど、型紙全面改装しています。 サイズは横巾だけ5ミリ増やした。それとマチの折目を変えた。これで少ない名刺の量を入れた時でもマチが干渉せずに、名刺の角を傷めないはず。 そして今回作る名刺入れの最大の挑戦はオール内貼りも革を使った革小物において、最薄の厚みでの仕上がりに挑戦しました。革製品はある程度の厚みある革の方が質感あって丈夫だ。しかしル・ボナーのお客様の年齢層は高めで、薄い革製品を要望する人が多い。内装を合皮や生地を使って作る革小物であれば、それはそんなに難しくはないのだけれど、オール革で作るとなると大変だ。その質感と強度も考慮して薄く仕上げるとなると、より工夫が必要だ。 革は薄く割ると紙のようにもろくなる。特に0,5ミリより薄くすると極端にもろくなるように思う。しかしオール革での薄仕上げにするには0,3ミリまで割る必要がある。それも何重にも重なる部分はもっと薄くする必要がある。0,3ミリ割で縁斜め漉き。これは私には到底出来ない領域で、割り漉き専門の職人さんにお願いしている。斜め漉きの最端は0,0いくつかの世界~。 10%E5%B9%B4%EF%BC%91%E6%9C%88%20191.jpg 上の写真は0.5ミリ割りで縁を斜め漉きした内側に使うパーツ。常時刃をみがきながらの割り漉きによって、削っているのではなくて切った断面は、革のコシを残す。 革を0.3ミリで割ったパーツでも強度をだすために、その薄さのパーツは2枚ベタ貼りして圧着して使う。そうすると0,5ミリの強度のあるパーツとなる。1,0ミリの1枚仕立てより、0,5ミリの2枚圧着ベタ貼りのほうが全然強度がある。そして薄い。そういった強度のある薄いパーツを思考することで、オール革での薄仕上げの革小物の限界に挑戦してみたのが今回の名刺入れです。 内側に使う革は革の表皮が強いクロームなめしの革を使う。 内貼りを生地や合皮を使って作る場合に比べて3倍ほどの革が必要になる。 10%E5%B9%B4%EF%BC%91%E6%9C%88%20199.jpg 4月の声が聞こえる頃には店頭に並びます。 今回は定番のブッテーロは勿論、それ以外にシュランケンカーフ、クリスペルカーフ、イタリアンバッファローの革でも作っています。もうしばらくお待ちください。 特別な薄い仕上がりで、それでいて丈夫で革の質感は十分感じられるル・ボナーの名刺入れはもう少ししたら登場です。

Le Bonheur (21:24) | コメント(5)

Comments

  1. orenge より:

    いいですね,これ。ただ薄いだけじゃなく,質感と耐久性のある名刺入れになるようですね。カードケースとして使っても問題ないですか?
    Re: orenge さん
    カードケースとしても、定期入れとしても、使えると思います。マチ付きのポケット以外に4か所ベタのポケットがある仕様です。
                               ル・ボナー松本

  2. まるまる より:

    ミネルバボックスの水色ってあるんでしょうか??
    Re: まるまる さん
    ル・ボナーで使っている革で水色はシュランケンカーフだけです。今回の名刺入れでも登場する予定です。ミネルバボックスでも水色があるかどうかは、使っていないのでわかりません。
                              ル・ボナー松本

  3. Apple より:

    ブッテーロの質感は色々なものを使っていて何となくわかるのですが、クリスペルカーフの質感等が気になっています。どういった特徴の革なのでしょうか?
    Re: Apple さん
    質感は言葉で説明するのは難しいですね。
    クリスペルカーフは牛革の最高峰と言われている仕上げのボックスカーフ系の革で、その中でも現在作られているボックスカーフ系の革の中では、私の知る限り一番だと思っています。漆の質感とでも言うのでしょか、上等です。
    このブログの検索で「クリスペルカーフ」と記して調べてみると色々とわかると思いますよ。
                              ル・ボナー松本

  4. kou より:

    松本様
    こんにちは 初めまして いつも楽しくブログを拝見させて頂いたいます。クリスペルカーフの名刺入れが4月にできあがるとのことですが、魅力ある素材だと言うことですので是非使いたいなと思っています。東京からですが通販で購入できますか?よろしくお願い致します。
    Re: kou さん
    名刺入れが出来上がり次第ブログでアップします。
    メールでご注文頂ければ、送る事も可能ですよ。
                    ル・ボナー松本

  5. 堀 まさよ より:

    はじめまして
    薄い皮を探していて辿りつきました。2006年の日記にあった「浅草の割漉き職人」さんの所在をご紹介いただけるとたいへんありがたく思います。(私は浅草の近所です)
    アンティークの「ベルトを替えられる時計」を買いましたがベルトが1本しか付いていません。作ろうと思いましたが3重にして1.5ミリ以内なので市販の皮では無理だと思いました。(時計本体にベルトを通すのです)
    プロダクトデザインをやっていてサンプル制作等するので手先はまぁまぁ器用です。※名刺入れなどは作れませんがこのベルトは糊止めなので
    見ず知らずでいきなり恐縮ですが どうそよろしくお願い申し上げます。

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