ル・ボナーの一日
T氏の大きな時計たち
2009年11月04日
T氏は親しくしている仲間の中ではブルジョアの部類に入る。
そういった人たちはお金をため込むのではなくて、消費することが世の中の為であ~る。
ありがたい事に彼はそんな事は意識することなく消費し続ける。
ありがたい事に身の回り品が大好きな人でもあるのだ。
靴と革の衣料以外の革製品は今では全部ル・ボナー製品で揃えてくれている。
その上贈答用にもいっぱい利用して頂き、私は感謝感激で西(自宅がある方向)と東(会社のある方向)には足を向けて眠れなぁ~い。本当はそんな事意識しないで眠っているけれど。
そんなT氏は取引先の人に会う時「儲かってますなぁ~」なんてイヤミを言われるのを回避するため、誰が見ても一目瞭然高価な品だと分かるような身の回り品は付けない様に心がけていると本人は言っているけれど、私からしてみるとそうは見えない。
その最たる品が腕時計。
「普段付けている時計はプラチナや金無垢のケースじゃないステンレスケースの時計だも~ん」なんて地味な時計とは何ぞやという持論を言うけれど、大きいのだ。全部40ミリオーバー。目立つ。
庶民である私は魅力的な時計を安く入手するため、色々な手立てをつくして数を増やし(増やす必要はないけれど)、その結果中古の時計のみ物色している者にとっては、許されない品揃えである。
ただその時計たちに付ける時計ベルトは全てル・ボナー製に交換してある。
大きいという事は重い。重いということは革製の時計ベルトもしっかりした厚みを持って丈夫に作らないといけない。まだ時計ベルトを作り始めて日の浅い私にとって、丈夫で見栄えする厚みの時計ベルト作りをお金を頂いて試すことが出来るという事は、まことにありがたい事であります。
このIWCのポルトギーゼは、ムーブメントの部品に刻まれたエッチングとパーワーリザーブが美しいが大きい。その大きさを感じさせない時計ベルトはタンニンなめしのダークブラウンのバッファロー革を紫の糸で手縫いしました。少しエージングが始まって艶が出始めて良い感じ。
ポルトギーネよりもビッグサイズで重いゼニスのエル・プリメロには丈夫な革・エレファント(黒)にブルーの糸だ。このベルトは最大厚8ミリほどはあり、オリジナルの革ベルトの倍ほどの厚みに挑戦した。
迫力満点で主役に負けない仕上がりになった。
このイタリアンな時計のブランドは知らないけれど、ケースの厚みが尋常ではなくて重たい。オフタイムに付ける時計なので、ベルトも派手にシュランケンカーフのオレンジにベルト通しだけ同じ革のライムグリーンのコンビネーションで仕上げた。この派手さはなかなか見ない。
時計ベルト作りは50歳過ぎてから趣味と実益兼ねて作り始めた。
主役の時計を引き立てる為に革の時計ベルトはあるのだろうけれど、
私は主役と拮抗する革ベルトを作れたら楽しいだろうなぁ~なんて思いながら作っている。
時計ベルトは革製品の中で一番寿命が短い品だ。
その刹那を華やかに存在して欲しいと思っている。
これからもT氏の大きな時計たちには私が作った極太の時計ベルトが花を添えるでしょう。
私は35ミリ前後のアンティーク時計が好きだけれど、革の時計ベルトは大きな時計に付ける極太で巾広を作るのが楽しい。だからこれからもT氏にはいつかパテックなどと言わずにビッグサイズの時計を購入し続けて欲しい。
Le Bonheur (21:39) | コメント(1)
最近,気になっているバッファロー革はいい感じ。象のベルトは,耐久性があり迫力満点。シュランケンカーフは美しい。クリスペルカーフは吸い込まれるほど魅力的。私の知る限り,ル・ボナーほど革のオール・スターが勢揃いのベルトブランドはありませんね。マット仕上げのクロコダイルが一番と思ってましたが,クリスペルカーフの凄さに驚いています。
Re: orenge さん
これからも色々な革を使って時計ベルトを作っていこうと思っています。
肉盛りして迫力満点で作るのが楽しいです。
ル・ボナー松本