ル・ボナーの一日

ミネルバという革

2005年12月14日

馴染みウエブ.jpg ミネルバという革は特別色変化する革です。手前の2点が私が使用しているもので、後ろ2点が新品です。茶は約1年使い、グレーは4ヶ月目です。どちらもすごく色変化しますがグレーは特別で、別の色の鞄のようです。 この革を作っているのは、イタリアのバトラッシーというタンナーで、元々イタリアの古来のなめし技法を調べていた大学の先生が実際に作りたくなって始めたタンナーで、今は2代目のシモーネという人がやっています。そのなめし技法はバケッタ製法と言い、この製法で革をなめしているタンナーは数軒ありますが、手抜きせず忠実に古来のバケッタ製法をやっているのはバトラッシーのみです。 この革の部位はショルダー部分を使っており、脂を含んだピュアータンニン革で、ミネルバリスシオはプレーンなバケッタ革でブリーフ、シカゴやビジーに使っています。ミネルバボックスはリスシオを手もみして柔らかい腰にしたシボのある革でショルダー、パパスなどに使っています。 一般的にタンニンなめしは馴染んで、クロームなめしは馴染まないと思われていますが、それは間違った常識で、しっかりなめされた、染料染めの革はタンニン、クローム関係なく馴染みます。ヌメ(無染色の革)はどんなヌメでもいい色に変わると思われがちですが、実際には汚れが先行して、いい感じにはなりにくい。 ミネルバという革は、扱いが悪くても間違いなくいい馴染みを見せます。ほんとに面白い革です。 バトラッシーはフィレンツェの郊外の村にあります。その村にはブッテーロを作っているワルピエもあります。美しい村だそうです。一度は訪れてみたい村です。

Le Bonheur (21:58) | コメント(2)

Comments

  1. ノブ より:

    本当にこの革は不思議ですね。私のボストンも徐々に色が深まっているように感じられます。ただ使用頻度が少ないので時間はかかるのでしょうね。パパスは次に購入を考えている鞄の一つです。ブッテーロの革も魅力を感じていますが、現在のラインナップでは購入に踏み切れる物がありません。新作を楽しみにしています。スーツに似合うリュックタイプはどうでしょうか。

  2. 筒井 より:

    待ってました。ブッテーロ、フラスキーニに続く皮革解説の第3弾目。本当にこの革は、生き物のように変化していきますよね。数年後はどうなっているか考えるだけでもワクワクさせてくれます。グレーの色変わりはすごいですね

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