ル・ボナーの一日
革が作りだす小宇宙 クリスペルカーフ
2009年02月24日
(クリスペルカーフの表皮の表情は神秘的。人が作りだした小宇宙)
ドイツ・ペリンガー社が作るボックスカーフ系のクリスペルカーフに魅了された。
ボックスカーフはクロームなめしの革を作るタンナーの技量を測る最適な革で、
このタイプの革の仕上がりの良し悪しでそのタンナーの革に対する考え方も見えてくる。
私の知っているボックスカーフ系の革の中で、現在入手出来る中では最高だと考えている。
革の締り具合(十分なめされている)も表面の繊細な表情(にじみ出るような艶と深みを持った色出し)も特別だ。ただ特別ゆえに特別高価だ。
輸入元のサライ商事に定番革として在庫して欲しいとお願いしたが、高価過ぎて売れないから出来ないと断られた。仕方ありませんが諦めきれずにサンプルロットでの黒のみの購入を決断した。他の色も頼みたかったが資金的余裕がなくて黒のみ。
そして半年あまり経ってオーダーしたクリスペルカーフの黒が届いた。
クリスぺルカーフという世界最高峰のクローム革を日本で唯一ル・ボナーが使うのだ。
そのために在庫資産が益々増えるけれど、それでも手に入れるに値する革だ。
と思ったらチョコ色のクリスペルカーフもありますよとサライの常務。
私がオーダーしたのに便乗して黒とチョコのクリスペルカーフを在庫で持つ事にしたんだって。
私はいつもこの革屋の実験台の役目をさせられる。その見返りは今だ何もない。
でもこの革はこれで1枚からでもサライ商事で買える。
私はクリスペルの黒は当分在庫があるので買わないけれど・・・・チョコ(ダークブラウン)色は買えるようになった。作り手の皆さんも1枚試しで買ってみてください。コードバンより高い牛革を。
今回入手したクリスペルカーフのチョコ色もやはり素晴らしい質感。
現在作られている多くのクロームなめしの革は、多くのブランドの要望で傷つきにくいけれど数年で寿命を迎える表面を顔料で覆ったビニールのような表情の革が多くなっている。
多くの革好きが求めるエージングはピュアタンニンなめしのミネルバやブッテーロの方だろうけれどカジュアルな革です。クリスペルカーフはクロームなめしではあるけれどエージングする。ただ時間が必要だし、使い手の愛情というエッセンスがないとエージングしない革です。
作り手を選ぶ革でもある。丁寧な仕事しないとこの革の魅力を半減させる。
非常にデリケートで深い革です。革が伝える小宇宙。
Le Bonheur (21:29) | コメント(2)
Comments
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あ、私もハミさんが大胆に裁断した後のものでハードカバー用のブックカバーが欲しいです。
Re:pretty-punchan さん
残り革ではブックカバーはとれません。いくらハミが贅沢な裁断をしたとしても。新刊本のサイズだとこのクリスペルカーフから3枚とれるかどうか。ブックカバー1枚3~4万になると思いますが作りましょうか?。ご予約おまちしております。
ル・ボナー松本
いいですね。写真を見ているだけで触れた時の柔らかな革の質感を想像してしまいました。どんな鞄に変身するのでしょうか、楽しみです。ハミさんが大胆に裁断した後の部分でよいから、私はブックカバーが欲しいなぁ。
Re:ノブ さん
この革は薄いですが固い革です。傷は付きやすいし丁寧に保存しないとシワも出やすいデリケートな革ですが、間違いなく世界最高峰の牛革です。生後3ヶ月のベビーカーフなのでハミの大胆な裁断でも残り革で文庫サイズのカバーが取れる量は残りません。
ル・ボナー松本