ル・ボナーの一日
オメガのリュウズと黄緑のラミー
2008年05月30日
休み前の夜、私は久しぶりに映画館に行った。ジャック・ニコルソン主演の「最高の人生の見つけ方」という映画が見たくなったから。見終わって良い気分でその場を立ち去った。映画館で見る映画はやはりいい。すぐ近くに映画館があるこの環境、利用しないなんてもったいない。また来ようっと。
私も陽気に人生の最後を迎えたいなぁ~。ハミもその気持ちは同じはず。どちらかが余命6ヶ月なんて宣告されたらちゃんと本人に伝えて、思い残すことなく死にたいねと話している。
私は日本一周ハミと旅したいなぁ~。アルファにテント積んで、自由気ままな旅。見知らぬ町や自然をのんびり愛でながらの旅。やはり東京に長く滞在することになるのだろうなぁ~。親しい人たちと別れの挨拶いっぱいしないといけないから。そして最後に鞄作ってバイバイ。ボンジョルノ松本は面白かったと笑いながら思い出話で見送ってもらえたなら、何て幸せなことだろうか。
私の今までの人生、人はどう思っているかは知らないけれど、良きにつけ悪きにつけ結構面白かったと思っている。何よりの幸運はハミと一緒になれと事。私はもし生まれ変わってもハミと一緒になりたいと思っている。ハミはそれだけは勘弁と言っているけれど。元々輪廻なんて考え方は信じていない私ですから、残りの人生を悔いなく喜怒哀楽を楽しもう、ハミといっしょに。
そして翌日はお休みの日。ここのところ何も特別な予定がない休日の私の行動コースは決まっている。
まるで動物園の白熊のように同じ場所を訪れている。
まず水谷時計修理工房。頼まれていた懐中時計を水谷さんに診てもらうため。
その懐中時計、素敵な絵柄が彫られたシルバーケースの商館時計。リュウズと軸と扉を開けるための部品がなくなっていて、その部品たちを手配して、分解掃除して、ケースも磨きなおして、スイスから船で送られてきてショーケースに飾られていた明治の頃のお姿に復元いたしましょう。シルバー無垢のケースだから驚くほど奇麗になりますよ。水谷さんは時計の中で特に懐中時計が大好きで、やる気満々。
ついでに純正のオメガのリュウズが手に入ったので、私が今一番気に入ってよく着けているハーフローターオメガにつけてもらいました。今まで汎用のリュウズが付いていて気になっていたので、これで完璧。純正のリュウズだといっても時計によって削ったり色々しないと装着できない場合が多いのだそうだけれど、このリュウズはこのハーフローターオメガにピッタシ。加工なしでまるでこの時計のためのリュウズではなかと思うほど凸凹にキッチリ納まった。これだと防水性も格段に良いはず。朝から気持の良い仕事ができたと、水谷さん上機嫌。その勢いで商館時計の修理も宜しくお願いしまぁ~す。
その後いつものように吉宗さんの処へ。
今日は珍しくお客様がいない。じゃぁ~ゆっくり調整お願いできます。ここのところ万年筆が急激に増えた。それも中古の品なので特に調整が必要なのであります。それにしてもPen and message.は居心地の良いお店です。
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今回はラミーのサファリ・2008年限定ライムグリーンの万年筆とボールペンのセットをハミへのプレゼント?として購入。バウハウス的デザインコンセプトを一貫して表現し続けているこのドイツのメーカーは、私の大好きな懐古趣味なレトロモダンとは対局に位置しますが、デザインの価値を伝え続けます。今回のライムグリーンは特に良い。工業製品として割り切ったモノ作りでありながら、それでいて無二の価値を提案している。潔さを感じるラミーのモノ作り、私は尊敬の念を持つ。
頂いたメロンもライムグリーン。その表面の網の目の文様は、自然界が作り出したモノだとは思えない。
世の中自然が創造し、人間が創造し、その混沌の中で多くの刺激を受けながら生きていく。
その楽しさの中で、ボンジョルノ松本は何かをル・ボナーの鞄にフィードバック出来ればなどと、言い訳の様な事を思っておりますなんて。
Le Bonheur (22:12) | コメント(7)
Comments
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たなか さん
私も商館時計が、どんな風に生き返るのかたのしみです。ボストンバッグ送ってください。すぐ直しますので。 -
大切に使われてきた時計ですね。いい経年変化で風格を増してます。このラミーのデザインは秀逸でしょう。
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orenge さん
私はガラクタ好きと親しいお客様には言われます。たしかに少しやれた風情がある品の方が好きなようです。 -
一見ガラクタに見えるモノの中に価値(宝)を見いだせる方はそう多くないと思います。みんなが「いい」というモノより,一人(目利き)が「ものすごくいい」というモノほうが価値があると思います。
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今晩は、ガラクタ良いですね!何ががらくたなのか良くわかりませんが?茶器の国宝になっている物の大半は、無名の職人が無欲で一日何百個も作っていた雑器の飯茶碗(昔の韓国の茶碗)の中の1個を日本人が頭で見るのではなく、目の力(感性)で見抜いて、今に残っています。知識等で物を見ない昔の日本人ってすごいですね!
本物と偽物を見抜くのは鑑定士、本物の中の本物を見抜けるのが目利きと思います。西洋の偶数の美より日本人の奇数の美が私はすきです。松本さんも好きな物をコレクションしていってください、これからも楽しく拝見させていただきます。宜しくお願いします。 -
orenge さん
中満 さん
私は年月を経ても壊れずに残っているモノが好きです。私の手元に偶然辿り着いたモノたちは、私が生きている間は、修理しながらでも一緒にいたいと思っています。消耗品でないモノたちが好きです。
貴重な時間を使っていただき、お手数おかけしました。
私が引き継いで25年目に生き返らせることが出来て、嬉しいです。
出来上がりを楽しみに待っています。
あとロダニールのボストンバッグの、
内ポケットがちょっとほつれてきました。
荷物(お土産)の詰め方を知らず知らずに、変な詰め方をしたものだと推察しているのですが、
ひどくなる前に、修理をお願いして宜しいでしょうか。