ル・ボナーの一日

感染者が増えている 万年筆編

2008年02月18日

私は有限会社ル・ボナーの職人兼代表取締役社長であります。私とハミの2人だけの小さな会社ですが。だから当然好きで書いてるブログでも、ル・ボナーの鞄を売り込むような内容を多く書かなければいけない立場の人間であるはずなのに、緊張して筆が進まない。無責任なことは書けないとか、コマーシャルだと思われては恥ずかしいとか、色々考えてしまう。 それに比べその他の事は無責任でいいから好きな事が書ける。 その結果、ル・ボナー界隈で万年筆菌とアンティーク時計菌が発症している。 重い万年筆菌感染者は私の知る中で二人いる。 一人は親しくしている大和出版印刷の社長。ここ半年で治療不能な重病患者になってしまった。それまで1年頑張って働いたご褒美にと奮発して時計を買う慎ましやかな?関西商人であった氏。スーツはニューヨークのデザイナーの既製品を、靴はクリケットジョーンズ、鞄はル・ボナー製をいっぱいのあるべき社長像。それがここ半年は万年筆一筋。万年筆を愛でる自分がインテリになったような錯覚を感じるらしい。万年筆を数多くコレクトすることはインテリとは対極に位置することを、氏はまだ悟っていなぁ~い。 もう一人横浜のI氏。革鞄のお手入れ名人で紹介したことのあるI氏は、いつの間にか万年筆菌の深ぁ~い迷宮に迷い込んだようであります。責任は私のブログにあるとのことですが、私は鞄は責任をもちますが万年筆は知りません。 IMG_7733a.jpg そんなI氏が今回入手したモンブランの作家シリーズのデュマ。写真を見た瞬間私も欲しい!と思ったけれど、イヤイヤ万年筆は数本で十分?と自分に言い聞かせ、私はフルハルターの森山さんに研いでもらうパイロット823プランジャーの極細仕上げ待機中。 お二人は半年あまりの間に私が持っている万年筆の数を越えてしまった。それも個々の美意識を元に美しい万年筆、質感のある万年筆を手に入れたいと願うから大変です。それはイコールお値段が高ぁ~いということなのであります。 私がパイロット823プランジャーコースニブを勧めても興味を持たない。 私のように日々のこずかいから捻出して万年筆を買っている者にとってコストパフォーマンスというのは大事なファクターであります。823のプランジャー吸入方式は歴代のプランジャー吸入方式の中で一番インクを吸入できるのではないでしょうか。パイロットの技術力の高さを実感することができます。そのインク量が重力となり、インクフローの良い万年筆であるはずなのです。それを「フルハルター」の森山さんに好みの太さに研いでもらって31,500円。フルハルターに持ち込んで研ぎ調整してもらうと15,000円かかるし、イリジュウムを特別に付け替えるのをメーカーに頼むと1~2万円はかかる。つまり素晴らしいインクフローのパイロット823プランジャーコースニブをタダないしはおこずかい付きで手に入れたと同じという屁理屈が成り立つわけであります。 私は抜き出た個性を万年筆に求めます。作り手の思い感じる万年筆が良い。 などと言いながら万年筆に興味がない人たちから言えばなんだ変わらない。 万年筆を売っていない万年筆屋さんと言われていい気になって、万年筆について力説している変なおやじにしたのは誰だぁ~。 %E3%82%89%E3%81%BF%E3%83%BC%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%81%83%E3%83%BC.JPG I氏のメールでのお尋ねに答えます。 ハミが現在一番気に入って使っている万年筆はラミーの「レディー」。七宝焼きが綺麗でペン先が独特の形状をした万年筆です。これに紫のインクを入れて使ってます。ハミは私より万年筆の使用頻度は高いですが、万年筆へのこだわりは強くなく、万年筆愛好家である私たちをニコニコしながら見ています。 万年筆はお気に入りが数本あれば十分。数は必要ないと頭の中では思っていますが、行動が伴わない。万年筆メーカーの策略にまんまとはまってしまっていると感じつつ、それでもいいかぁ~と思っている私であります。 先週「趣味の文具箱」という雑誌の取材がありました。カバンのことはあまり話さず、万年筆談義に終始した。いよいよ私も万年筆愛好家としてメジャー?デビューであります。

Le Bonheur (21:09) | コメント(14)

Comments

  1. ノブ より:

    はい、重症です。最近は万年筆インプレ広場で体内から菌を吐き出そうと努力しています。ルボナーのペンケースも紹介させていただきました。しかし本数はそれほどではありません。ただセルロイドの派手なものが多いですね。手にした感触やボディの美しいデザインは、日常から開放してくれます。また、万年筆の書き味は、サラサラ、スルスル、サリサリ、ヌルヌル等、個性があり面白いですね。さらにペン先の硬軟、インクの色合い、紙質との相性等が実に豊かな表現を体験させてくれます。やはり、かなり重症ですね。フルハルターにこだわらないのは、いろいろな書き味を楽しんでいて、本当に好きな書き味に出会っていないからかな。

  2. ハミ より:

    ノブ様
     万年筆についての詳しい事に無頓着な私ですが、カシャッ、プチッ音と共に無意識に書けるものより、キャップを回し外す数秒と、しばし美しいペン先を見つめ書き味を楽しむひとときは、慌ただしい日々を一瞬に忘れさせてくれる至福の時。気分に応じて使い分ける楽しさを十分味わいたいと思っています。父さんとは違う意味での重症を楽しんでいますよ!
    セルロイド、手にした時のぬくもり一番好き!です。
    ノブさんの「デュマ」憧れる父さんの気持ち分かる気がします。
    大切にして下さいね!

  3. naka より:

    ここにも感染者が一人おります(笑)
    松本さんのブログを読むうち、どうしても欲しくなり、半月ほど思案して、とうとう先日買ってしまいました。
    ミーハーな性格なため、私の頭の中ではモンブラン マイスターシュテックが「手に入れて!」と叫んでいました。
    自分の手にあった程よい大きさのものを選んで、ペン先を試して、Fに。
    後で知ったのですが、「オマージュ ア フレデリック ショパン」でした。
    今はル・ボナーの革のペンケースが欲しいと頭の中で叫ぶ声が聞こえます。

  4. ノブ より:

    ハミ様
    ありがとうございます。私もコレクターになるつもりもなく、ハミさんと同じように気分に応じて使い分けるつもりで購入していたら増えただけです。重症患者の言い訳・・・。
    私もキャップを回して開け、書き終えた後に回して閉める、この一連の動きが至福の時の儀式のように感じています。
    「デュマ」の3本セット、それもミスサインが格安でヤフオクで出ていますよ。

  5. ル・ボナー松本 より:

    naka さん
    万年筆菌は本当にしつこいです。感染させると自分自身の菌が弱まるのではないかと思っているのかもしれません。イタリアモノが特に強いように思われます。理屈抜きですから。
    これからも楽しんでくださぁ~い。
    ノブ さん
    重症患者の登場!。ペリカーノは千円で買えます。3万円の筆記具を安いと感じた段階で、その人は十分菌に侵されていまぁ~す。ワグナ-に参加するようになったら増殖の一途、普通の人には戻れません。本物のセルロイドはキャップに鼻を近づけてみてください。特別な香り楽しめます。
    デュマがヤフオクに格安で?早速見てみます。ダメだぁ~。

  6. 人に感染させておいて無責任だなぁ。まったく・・・。本当に不治の病ですよ。
    万年筆を持ってニヘラニヘラしている私は確かにインテリの対極にいますね、自覚しました。でも楽しいものは仕方ない。感染させられたことを恨むと同時にこの世界に誘ってくれたことにも感謝しておりますよ。

  7. ル・ボナー松本 より:

    社長@大和出版印刷 様
    東京出張&販売員ご苦労様でした。
    万年筆に飽きたらいつでも私にいってくださぁ~い。格安で引き取りますので。特にイタリアモノは強烈な菌を撒き散らしますから危険ですぞ。
    これからも万年筆伝道師として、私同様世の中のためにならず、儲けにもならずに頑張ってくださぁ~い。

  8. ノブ様インプレでいつも拝見させて頂いております、万年筆に犯され鞄に魅了されましたが、これは幸せな気持を一人静かに味わえる嬉しい病気だと思っております。いつかみなさんと語れる事を楽しみにしております。

  9. ノブ より:

    パパスの夢待ち人様
    こちらでお会いするとは、緊張です。万年筆初心者の私がインプレを書いたり、鞄の素人がお手入れ名人と呼ばれたりするのは、どれも怖いもの知らず、恥知らず、だからです。不適切な表現など未熟な点はどうぞご指摘ください。

  10. KT より:

    お世話になります。神戸への出張の際に貴店にてボストンバック(チョコ)の予約注文をしましたものです。その際に私もフルハルターの823プランジャーを所有しているということで、しばし万年筆談義をさせていただいたのをとても楽しく覚えております。さて、その後たくさんの方がルボナーを経由して万年筆の魅力に感染、引き込まれているようですね。わかります。ほんとうに万年筆欲しい病は伝染しますね。私はほぼ毎日万年筆を仕事にも使っていますが、チラホラと万年筆を使い始めている人が目につき始めました。
    そうそう、ボストンバック気長に待ちますのでよろしくお願いします。

  11. めだか より:

    とっくに重症患者となっている者として、皆様の会話をニタニタしながら読ませていただきました。でも、みなさんのコメントに影響されて、また一本欲しくなってきて…。
    松本様の菌は、かなり強力なようです。
    ハミさんのペンはきれいですね。オシャレで、似合ってましたよ!

  12. ル・ボナー松本 より:

    KT さん
    勝手な憶測ですが、万年筆好きは革鞄好きが多くて、時計好きは革靴が好きな人が多いように思います。なぜなんでしょう?。
    シュランケンカーフのチョコは入荷しましたので、次回キューブボストンンを作る時に作る事ができます。しばらくお待ちください。
    めだか さん
    この道の大先輩にそう言われると恥ずかしくなります。これからもご指導ご鞭撻宜しくお願いします。全部画伯です。こんな私にしたのは古山万年筆画伯です。それにイタリア人気質のボンジョルノ松本が爆発して収拾がつかない状態を生み出しました。新参者ですが、仲良くしてくださぁ~い。
    めだかさんは万年筆はもういらなぁ~い。ル・ボナーの鞄を買いましょう!。

  13. KT より:

    キューブボックスの件 よろしくお願いします。
    それはさておき、万年筆のインクについて以前ご紹介いただいたパイロットの茶に同じくパイロットの極黒を少しまぜてこげ茶色にしたものをあれからずーっと使ってます。仕事メモ用のノートにツバメノートB5のクリーム色を使っているのですが、インクのこげ茶色が良く映えます。
    一つ教えてください。
    インクを混ぜるときに使いやすいボトル、道具などありましたら教えてください。私は空きボトルを使って混ぜてますがインクを注ぎいれるとき危なっかしくて、毎回調合度合いが適当なので、もう少し簡単にできないものかと考えておりまして、、、

  14. ル・ボナー松本 より:

    KT さん
    フルハルターのインク研究会の人たちは注射器が必需品だそうです。これで正確な分量を調合するそうです。試してみてはいかがでしょうか。

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