ル・ボナーの一日
不易を求めて
2007年12月16日
メンズバッグとレディースバッグは同じモノを入れるカバンですが、根本的に違うなぁ~と思うのです。
メンズを作る場合、多くの決まりがまずあり、それを崩して作ることは出来ません。
まず入れるものに制約されたサイズ。こだわりを持ったディテール。物語り性を持ったバックボーン。
ビジネスシーンで使うバッグにおいてはそれにスーツや靴との相性も加わります。
そういった制約の中で、個性を創造する難しさがあります。
ただメンズバッグは作る職人のセンスと技術の差がはっきり同じような形の中で比較できるので、
怖くもあり面白いカバン作りです。
デザイナーとしての関与は部分的で十分です。
写真の被せのフタブリーフや今作っているダレスバッグはメンズの定番中の定番の形で、
どのカバンメーカーでも作っている形ですが、デザインではなく、センスや技術で差が如実にでます。
またこういった形のものは流行り廃れがないので、長く作り続けることによって、
より進化した工夫を加えることが出来ます。
それに比べレディースバッグはデザインの部分が大きい。
女性の場合、直感的に可愛いとか美しいというのが第一でサイズはその後。
入れる物を工夫してでもデザインが気に入ったバッグを選択するところがあります。
それも洋服に合わせて多くの種類のバッグをこだわりなく購入されます。
そのためデザインの自由度はメンズバッグに比べ制約がすくなく、楽しくデザインで遊ぶことができます。
しかし流行り廃れが激しく、新しいデザインを創造することの方が重要で、
新しい形を要望される場合が多々あるのがレディースバッグの宿命です。
革製のバッグを購入する男女比は圧倒的に女性が多い。
しかし独立系鞄職人はメンズバッグをメインで作る人が多い。
それは上に書いたような理由が影響しているのだと思う。デザインし続けることより、
技術的な部分に魅力を持って独立系鞄職人になりたいと思う人が多いからなのでしょう。
かくいう私も、デザインよりディテールやバックボーンにこだわるモノ好きであります。
ハミはそんな私とは正反対の感覚の持ち主です。いい意味でカバン作りで自由に遊んでおります。
ル・ボナーのカバンたちはそんな二人が作っているので、いいバランスを保っているように思っていますが、いかがでしょうか?。
遊び過ぎているオヤジがいるから、レディースバッグばかりがお店に並んでいる~!という声も聞こえますが、その言葉を謙虚に受け止め、これから日夜カバン作りに励む所存でありまぁ~す(残業はもう勘弁、昔やりすぎたぁ~)。
どちらにしても、デザインすることは表面的な差異であって、求めるのはその奥底にある不易。
ル・ボナーの不易(不変のアイデンティティー)を表現する鞄作りを求め続けています。メンズであれ、レディースであれ。それはカバン作りを続ける限り、終わりなき探究。だからモノ作りは魅力的なのではと思っています。
Le Bonheur (21:35) | コメント(2)
Comments
-
たなか さん
ありがとうございます。
この後も順次たなかさんに頼まれている鞄を作っていきます。
今週中に出来上がった品々送りますね。
まるさんのホームページにハミさんの
ティアの画像と記事がありましたね。
ル・ボナーさんの鞄を持てることを、
幸せだなと思っている今日この頃です。