
ブッテーロでベルト制作中。いい革だぁ~!
私はタンニンなめしの革の中でイタリア・ワルピエ社が作るブッテーロという革が大好きです。
傷つきやすく、ミネルバほどのエージングは期待できないタンニンなめしのオイルレザーですが、タンニンなめしでありながら素晴らしく発色がよく、植物性のオイルが功を奏してか大変清潔感のあるオイルレザーです。傷つきやすいけれど、使い込むうちに傷をも含み込んで味わいを生み出す革です。
ブッテーロはタンニンなめしなのでクロームなめしの革に比べて腰が強い(固い)のですが、革のしっとりした感触が程よくて、まさに今は作られなくなった(私はデッドストック品として持っている)クロームなめしのねっとりシットリイタリアンカーフの感触に近いのです。
革にねっとりシットリした触感を強くもとめるのは本来のイタリアンレザーの特徴です。ただその特徴を強く主張する革はデメリットとして傷つきやすくお手入れが大変です。そのためねっとりシットリのイタリアンレザーは少なくなり、クロームなめしにおいては皆無に近い状態です。
現在ヨーロッパの革も、個々の国の特徴を強く主張する革が少なくなりました(特にクロームなめしの革)。誰が決めたか知らないけれど、顔料を厚塗りしたり表面をコーティングして最初は傷つき難いけれど、革が呼吸できなくて早くに老化してしまうタイプの革ばかりが目に付きます。その方が丈夫そうに見えて、それでいて早いサイクルで革が老化して買い換えてもらえるからです。私はそんなブランドの都合で作られた革に対して否定的です。
そういった革が大部分なので、新規に私が使いたい革を手に入れるのは大変な時代になってしまっています。
ねっとりシットリのクロームなめしのイタリアンカーフを新しく手に入れるのは絶望的です。現在所有しているフラスキーニ社のデッドストック革を小出しに使っていくしかありません。

フラスキーニのデッドストック革で作ったアタッシェの表面。独特のバーガンディー色
それにしてもイタリア人は触感を大事にする国民で、同じラテンでもフランス人は清潔感とパステルのようなカラフルな色を重要視し、スペイン人は視覚的な泥臭いほどのねっとりを求める国民だったけれど、今はその特徴もなくなった。革も大きな経済システムがグローバルスタンダードと言う名の均一化の方向になっています。
つい最近私はイタリアンレザーで感動したことがありました。
実はまたまたアルファロメオなのですが、この9年前のイタリア車はレザーシートではありませんが、いつもドライバーが触る部分のハンドルとシフトノブは革巻きです。その革がまさに私の大好きなねっとりしっとりのイタリアンレザーなのです。現行の車はこのねっとりシットリ革ではありません。私はこの色香を感じる感触を知った時、この車を選択したことを神に感謝した(少しオーバー)。しかしこのハンドルとシフトノブの感触は本当に素晴らしい、丈夫ではない革ではあるけれどドライブするその刹那の時間を魅力的な時間に昇華してくれる。感触を重要視するイタリア人の心に触れた思いでした。
私は革が大好きです。よい革かどうかの判断は指先で革を曲げる時の感触を一番の判断基準にしています。それから革を広げて表面の具合を見ます。ねっとりシットリで粘り腰の革と出会えた時はドキドキしてしまいます。万年筆好きに革鞄好きが多いのも、触感の部分を刺激する共通点があるような気がする。近いうちに私の自転車のハンドルにもねっとりシットリのイタリアンレザーを巻き直すことにしまぁ~す。そうしたら自転車を漕ぎたくなり、メタボリ体型が改善されるはず。革の感触はそれほど非常に刺激的なのであります。過去のねっとりシットリイタリアンクロームレザー最高。現在のイタリアン、タンニンなめし革ばんざぁ~い。
ブッテ-ロいいですね、私の二本のベルトも太ダレスも使っていくうちにどんどん味わいが出てきて(と言ってもまだ一年ちょうとですが)、けっしてへなちょこにならずに深~くて強い信念を持っているような表情を感じます。こんな味わいのある人間になりたいなと思います。
でもシュランケンカーフの華やかで優しさを感じさせながらも芯がしっかりした鞄もこれまたいいんですよね~。
今日は太ダレスだったので、明日はブリーフキューブを持って仕事に行こうと!