ル・ボナーの一日
万年筆の世界へようこそ
2007年07月25日
このペン先は万年筆の神様、セーラーの長原御大が発想した「団子3兄弟」というペン先。ペン先3枚重ねてイリジュウムも3倍です。太くも細くも書ける魔法のペン先です。こんな発想よく出るものだと敬服いたします。万年筆で書く楽しさを自由な発想で広げていく長原御大の考え出すペン先は摩訶不思議な遊び心満載です。
下のペン先は外付けのクロスポイントをエンペラーでおさえたタイプ。実に楽しそうです。楽しみを仕事に昇華した稀有な人物です。私も長原御大のように楽しそうな仕事人でいたい。
この写真の万年筆の持ち主はKENSAKI万年筆プロジェクトのリーダーの樫本さんのものです。樫本さんは長原御大の作り出す万年筆のコレクターとしては間違いなく世界一です。樫本さんは万年筆のペン先で遊ぶ御大の仕事が大好きなのです。
私は古山画伯と出会ってから万年筆菌に感染して、古山画伯を通じて多くの万年筆を介して愉快に遊ぶおじさんたちと知り合いました。知的に見えて全然知的でない万年筆で遊ぶそのおじさんたちは大変魅力的です。
万年筆は面白い。ペン先のなめらかなすべりが心地良い。多くのハンディを持ちながらそれでも筆記具の王様でありつづけるのは、そのハンディを補ってあまりある柔らかな書き味と作る職人の熱き思いを感じ取れる筆記具だからです。安易には扱えないことはハンディではなく豊かさなのです。
そして万年筆はペン先を調整することで持ち主の好みの書き味に仕上げれるというのがいい。
自分好みの車にチューニングできるとしたら車はますます愛情降り注げる相棒になると思うけれど、それにはべらぼうな資金がいります。それに比べ万年筆の書き味のチューニングは手軽に出来て、自分好みの書き味という快感を得ることが出来るのです。
神戸の老舗文具店を退社されて、万年筆のペン先調整の技術を生かした理想の文具店を始められようとしておられる吉宗さんも万年筆に魅力を感じ、その魅力を多くの人に伝えたいと思っておられるお人です。その吉宗さんの文具店がもう少しで産声をあげます。私は楽しみにオープンの日を心待ちにしています。
吉宗さんの柔らかな接客、確かなペン先調整は心地良い時間を提供していただけます。万年筆が誘う豊かな世界を吉宗さんを通じて知った私です。神戸に確かなこだわりを持った新しいお店が増えることを望んでいる私です。そんなお店が神戸の新しいメリケン文化を醸成してゆくように思います。
万年筆にあまり関心を持っていなかった某出版印刷会社の若社長が吉宗さんに調整してもらった万年筆を購入したらしい。それも万年筆の良心、ペリカンのスベレーン800です。初心者がそれはいけません。若社長よりは万年筆菌に深く侵されている私ですらまだ遠慮している名品を買ってしまった。その上もう2本目を吉宗さんにお願いしているようで、もう引き返せません。若社長も泥沼万年筆病患者まっしぐらです。
数か月したらTAKUYA君に特注したペンケースに800番を入れた若社長が見えまぁ~す。
作り手の情熱と売り手の誠意を感じながら入手できるモノはその人にとって宝物になります。万年筆はそれをストレートに感じることのできる品です。満足度が価格にイコールでない品でもあります。だから面白い。
Le Bonheur (20:54) | コメント(4)
Comments
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パパスのタカギさん
私のお宝、いただいたKENSAKI万年筆の調整はフルハルターの森山さんに研いでもらうことが指定で、まだいただいたままの状態です。早く世界一のスペックの書き味を体現したいです。
来店される時はお持ちの万年筆見せてくださぁ~い。 -
ヤバいですよ。カンゼンにハマりそうです。
今日今から2本目を持って吉宗さんが来社されます。今度見せに伺います。
今日3本目頼んでたりして・・・。 -
社長@大和出版印刷さん
困った男の三種の神器、時計、靴、万年筆揃い踏みですねぇ~。特に万年筆は持っていると頭がよくなったような錯覚を覚えてしまうのでご用心を。それにしても2本目がヤード・オ・レッドであったとは。重症だぁ~。
いいですね、万年筆、私もフルハルターの森山さんにペリカン800とパイロット823コースニブで研いでもらいました、最高の書き味です、長原幸夫氏と川口氏には何本か調整してもらいましたが、さすがとしか言えません。セーラーは80周年が手に入れられず柘製作所の富士を長原氏に調整をお願いし世界に一本の私だけの万年筆になりました。今はパパスにいつも入れております。