ル・ボナーの一日
玉ブチの交換修理
2007年06月04日
長く鞄作りをしていると毎月いくつかの修理が持ち込まれてきます。その中で多いのが内縫いの間に挟む玉ブチの交換修理です。
一般的に玉ブチはプラスチック芯に薄く漉いた革を巻いて作ります。その方が均一の綺麗な見え方をするのと、そのでっぱりがガイドの役目をして気をつけなくてもスムーズに縫製が出来るからなのですが、薄く漉いた革は破れてプラスチック芯が見えてきてしまいます。
ル・ボナーで現在販売している内縫いの鞄はプラスチック芯を入れないで厚い革の二つ折りにして作っているのでこういった修理の必要のない鞄になっていますが4~5年前まではプラスチック芯を入れてつくっていたのでその頃までの鞄の玉ブチ交換修理があるのです。ただ修理した後はプラスチック芯なしの二つ折りに直すのでこれからは大丈夫。
量産ブランドの内縫いの鞄で芯を入れない玉ブチにしているところを私は知りません。量産をスムーズにするには芯なしの玉ブチは難しいのです。唯一大ブランドで芯なしの玉ブチなのはエルメスですが、ここは内縫いを手縫いでするのでミシン縫製と違って玉ブチにガイドの役目をもたさなくてもいいので特別です。
芯なし玉ブチは職人泣かせです。しかしその方が後々の修理の可能性が極端に少なくなります。
玉ブチの交換はカバン本体を解いてから再度組み上げるので手間のかかる修理です。
分解せずに貼るだけの修理をしているところもあるのですが、そういった修理だとすぐ駄目になります。
それでも付属品は交換すればなんとかなりますが、本体の革が死んでしまうと修理は不可能です。大敵は人の汗に含まれている塩分です。この塩分が革の老化を進めます。
よく触れる部分は水拭きして塩分を緩和してあげるとより長く良い状態で使うことができます。
それとほこり(雨に含まれている汚れも)。これも水拭きがいい。
そんなところを気をつければ長く気持ちよくつかえます。本体の革さえ大丈夫であればそれ以外の修理は大丈夫です。お金と時間はいただきますが。
Le Bonheur (20:41) | コメント(2)
Comments
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d-sakata さん
私達が作ったモノは責任を持ちたいと思っております。
ただル・ボナーの製品以外の修理はお断りしています。正直そこまでは手が回りません。
購入された鞄が使う人と同歩調で年をとっていってくれれば嬉しいなぁ~。
ル・ボナーは鞄屋さんですが、鞄の病院でもありますねよねぇ。ここで治療(修理)を受けれる鞄はとっても幸せに思えてきます。お金さえ出せば新しいのが手に入るのに、大事に大事に名医の治療を受けれる鞄。患者さんの身になればこれほど心強いことはないですからね。マイバッグもそんな事を言ってました。その時は是非、名医の治療をお願いします。