ル・ボナーの一日
古山画伯来店
2006年09月24日
画家の古山さん が来店されました。前回来られた時より細身でお洒落になられたと大喜びのハミ。スケッチブックと一杯の万年筆。
万年筆とカバンの陽気なコレクターの古山画伯の今日のお供のカバンはフジイさんの工房で作った手縫いのショルダーバッグ。オール手縫いで仕上げられた独特の形状をしたカバンは迫力充分。刺激を受けます。お見事。
画壇の異端児、古山画伯の絵は不思議な魅力があり、いつかほしいね!と考えていることを画伯に話すと、カバンと物々交換しようとの画伯からの提案。私たちには願ってもないこと、喜んでその提案に乗りました。不思議なキャラクターの動物や人物がル・ボナーのカバンを持っている絵を描いていただけるそうです。ル・ボナーの店の壁にその絵が飾られる日が楽しみです。個々の基準で価値を認め合うから出来る物々交換は、現金を介するよりワクワクします。物々交換なんて大阪のミシン屋のオヤジと過去の遺物のような古いクリッカーとカバンを交換して以来です。
画伯は憂いでいます。多くのカバンをコレクションしていて、戦前の日本で作られたカバンたちが素晴らしいことに気づくのだけれど、その技術が現在に継承されずにきている。
大正時代のボール紙を革で包み込んで手縫いしたトランクは100年近くの年月を経た現在でも使用に充分耐える状態で残っている。トランクの元祖の国イギリスのモノは現存するモノをあまり見ない。日本の手をかけた技術がいかに素晴らしいものだったかを日本の大正時代のトランクは物語る。
そういう技術を戦後の鞄業界は大事にしようとしなかった。何処の国でもよく似たようなものだけれど、日本もまた鞄職人の技術の継承に資金を投入せず、職人が日本で枯渇しそうになるると、海外に工場を作りその場しのぎして、利益追求に邁進する。鞄作りも他業種の多くと同じように、日本国内での作る現場の空洞化が進んでいます。そこのところを今のうちに声高に発言していかないと、ほんとにいなくなってしまう。鞄作りをしている私もそう思う。鞄を作るという仕事は楽しい行為です。楽しいだけではすまないけれど、若い鞄職人が多く育ち刺激を受けながら新陳代謝を繰り返す業界になってほしい。
そんな話をしながら楽しい5時間ほどを過ごし、古山画伯は帰ってゆきました。
Le Bonheur (20:06) | コメント(0)
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