ル・ボナーの一日

太ダレス裁断中

2006年09月19日

ムスタング.jpg 現在、定番の太ダレスの裁断中です。 今回太ダレスは12個作りますがメインはブッテーロを使ったモノですが、デッドストックの良き時代のイタリア、フラスキーニ社のカーフ、ムスタングと、今ボックスカーフでは世界ナンバーワンの出来だと私は思っているドイツ、ペリンガー社のクリスペルカーフでも作ってみます。 フラスキーニ社のムスタングは生後六ヶ月のカーフをマットな感じで仕上げています。今回はベージュ色のモノを使いますが、カーフなのに半裁です。普通カーフは下の写真のクリスペルカーフのようにお腹で割いただけの状態なのですが、作業が楽だからと半分にしてなめしています。そういったところ、イタリア人はいい加減です。でもなめしは素晴らしい。イタリアンカーフ独特のしっとりしたきめ細かななめしは現在のイタリアのクロームなめし革ではなかなかお目にかかりません。 クリスペル・カーフ.jpg クリスペルカーフは生後3ヶ月までのベビーカーフを使い、ボックスカーフに仕上げています。 クロームなめしの牛革では最高とされているのがボックスカーフです。カールフロインベルグ社のボックスカーフがドイツ本国で生産されなくなってからほんとに素晴らしいボックスカーフは見れずにいましたが、この革は素晴らしいボックスカーフです。 何度も繰り返しなめされのがわかる、ゴムのような跳ね返りが感じられる質感。染色も深みがあり独特の光沢を見せます。タンニンなめしの革とは違うクロームなめしなりの独特のなじみを将来見せることを約束してくれる上等ななめしです。 でも値段も素晴らしく高い革です。コードバンより高いのです。イギリスのブライドルレザーの倍近くする値段。なかなか定番の革として使うには躊躇があります。 今こうして良い革、好きな革だけを使ってカバン作りが出来る環境に居れて幸せです。 この2種類の革以外は私の大好きなブッテーロを使って作りますが、その中の一つは青のブッテーロに黄色の糸を使って組上げます。去年もネイビーのブッテーロで太ダレスを作られた、神戸生まれで今は転勤で東京に住んでおられるモルトウイスキーと葉巻の香りを愛するNさんの注文。神戸人はシックな中にも綺麗な色を加えるお洒落を好みます。そんな太ダレスに今回はしたいとの希望でこの配色の太ダレスです。どんな太ダレスになるか、私も楽しみです。 裁断が終わったら、漉屋さんに厚みを指定して割ってもらいます。私達はいつも割り漉きは大阪の山西さんにお願いします。今まで何軒かの職人さんに割り漉きをお願いしてみましたが、山西さんが一番私達にはあっています。小物用の繊細な漉きも丁寧だし、独立系の私達の少ない量の仕事でも嫌がらずしていただけます。感謝しています。 その間、月に一度のベルトも今回は多いし、最終サンプル作りもせいています。オーダーも何点かあるし9月後半から10月一杯今年で一番忙しい時期になりそうです。気合をいれてがんばりまーす。

Le Bonheur (20:44) | コメント(11)

Comments

  1. たなか より:

    ミーハーなんで、デッドストックと聞くと、耳がぴくぴくと反応してしまいますが、今は我慢のしどころ。
    私の注文のボストンを首を長くして待っている状態なので、今回もパスなんですが、
    革の魅力はすごいなあとつくずく思います。
    思い出せないのですが、いつの頃から革が大好きで、革ジャンやベルト、バッグ、靴など散財しながら勉強していくものですね。
    本当にいい革は、手触りや匂い馴染み本当に楽しみがたくさんありますね。
    たぶんそういう意味ではオタクでしょうね。
    そしてル・ボナーさんへ辿り着きました。
    でもクリスベルカーフで、グラスなんて作られたら、最高でしょうね。
    素人考えですけど。
    だらだら長くなってすみません。
    イタリア旅行を目指して、お体に気を付けてお仕事頑張ってください。

  2. 三好 より:

    太ダレス完成の連絡をどきどきしながら待っています。 I洋服店にオーダーしたダブルのスーツも来月の上旬に出来上がりそうです。

  3. ル・ボナー松本 より:

    たなかさん
    クリスペルカーフでグラスっていいですね。来年の3月にグラスを作るのでその時お店展示用に作ります。たなかさんのボストンバッグは12月作る予定にしてます。もうしばらくお待ちください。
    三好さん
    太ダレスの完成も同じ頃になりそうです。今回の太ダレスは少し改良を加えました。今まで以上に良くなると思いますヨ。

  4. たなか より:

    昨日神戸からお客様がありました。
    随分前からお越しいただいているのですが、個人的にお話させていただいたり、勉強させていただいております。
    ブログの活用の仕方から、ル・ボナーさんのブログやバッグの話になり、
    六甲アイランドにあるお店だと伝えると、10年くらい前まで住んでらっしゃったという事や、更地でショッピングモールを立ち上げられるお仕事をされていたことなど、夜の2時近くまでお話していました。
    ちなみに少しお店の宣伝もしておきました。

  5. ル・ボナー松本 より:

    たなかさん
    不思議な感じですよね。人と人はなんだかの形で関わりあいながら、生きているのですね。そんなつながりを大事にしてゆきたいと思います。

  6. Y.N. より:

    すこし昔話で恐縮ですが、10年程前、元町南京町の南端に「インバネス」という洋服の仕立屋がありました。生地のバイヤーでもあり、英国あたりで仕入れた上質な端切れ(スーツ1~2着程度仕立てることができるようです。)で格安のスーツで提供していただきました。初めての仕立では無難に地味なチャコールの三つ揃えを注文したところ、特にお願いしていないのにベストの背中を袖の裏地に使うような白地にストライプの生地で仕立ててくださり、上着を脱いだ瞬間、周りの殆どの人が反応する粋な仕掛けをしていただきました。
    このたびお願いしたダレスは、皮革の小さなサンプルと仕上がったものとでは、青の印象が大きく違うことと、加えて表地と裏地のコントラストも大きいので、10年ぶりに意外で粋な仕上がりになればと期待しております。10歳年上の仕事のパートナーが涎を垂らして欲しがる姿も楽しみです。
    ここしばらく神戸に帰っておりませんが、最終便で到着すると必ず三宮エースタウンビルのバランザックで引っかかります。成田一徹さんの「to the Bar」でも紹介され、オーバーに染み付いたタバコの香りのように古きよき神戸のけだるさが残るお店です。ディーゼルのような焦げ臭さとシンナー臭さに満ちた極若いアイラを、マスターのOさんが注いでくれて、香りが広がると、故郷に帰ったというホッとした気持ちを実感する空間です。

  7. ル・ボナー松本 より:

    Y.N.さん
    粋な神戸らしい鞄に仕上げたいと思っています。決して派手ではないのだけれど上等な色気を持った太ダレス。作る私も楽しみです。

  8. たなか より:

    この度は私の我儘をお受けいただきありがとうございました。
    月曜から九州ローカルで放送されるドラマの撮影で、中野良子さん、細川ふみえさん、田中律子さん、小沢真珠さん榎木孝明さん達にお泊りいただいているのですが、そこに子役の子がいらしているのですが、神戸にお住まいだそうです。
    またまた子役のお母さんに、六甲アイランドの鞄屋さんの鞄ですよと、自慢ついでに紹介してしまいました。

  9. ル・ボナー松本 より:

    たなかさん
    いつも宣伝していただきありががとうございます。注文の鞄がんばって作らせていただきます。

  10. たなか より:

    クリスベルカーフってすごいですね。
    さすがドイツの質実剛健なお父さんって感じですね。
    素人の感想ですが、外敵があろうと身をもって家族を守るそんな雰囲気を感じています。
    ブレンダボックスカーフは、対照的にイタリアのちょっと太っちょのお母さんみたいな雰囲気で、何でも吸収するようなおおらかさ、明るさを感じます。
    きっと国際結婚して素敵な家庭(バッグ)になるでしょうね。

  11. 匿名 より:

    クリスペールカーフでボストンバッグを出して欲しいです
    縦33cm横48cm幅26cmくらいの大きさ希望です
    色は黒か紺か藍色希望です

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