裁断場の壁にちょっと古いクロモリフレームの自転車が有り、それを見た通りすがりの自転車好きの方から「此処は自転車屋さんですか?」と聞かれる事がある。「いいえカバン屋です」と言うと怪訝そうな顔をされたりする。それでも見たいという人にはそれぞれの自転車のヒストリーを長々と自慢げに説明するボンジョルノでありました。
此の所乗っていない。どうも私はクロモリフレームバイクの優美なフォルムが好きで、それを体力維持の為に有効利用する事には強い関心を持っていないようだ。と言いながらどこか乗らない事に後ろめたさは感じている。また漕ぎ出すきっかけが見つかれば〜。
お店前の喫煙場所で煙草をくゆらせていると、アマレスの試合着?にTシャツで泥だらけの私と同世代のおじさんが荷物をビニール袋に包んでハンドルに括り付けてこれまた泥だらけの自転車を押しながら近づいて来た。一瞬浮浪者かな?と思ったけれどよく見ると自転車は神戸では知る人は知っているフレームビルダーのネームシール。ただ汚いだけだと理解した。「これ、おっちゃんの自転車?」と尋ねられた。同世代におっちゃんはないだろうと思いながら裁断室の鍵を開けマイ自転車を自慢げに説明した。「東叡良いよね〜」「カンパはやっぱヌーボレコードだよね」なんて興味のない人には何言ってるのかという感じの会話を楽しんだ。
そしてその同世代の自転車好きおじさんに「どちらにお住まいですか?」と訪ねたら神戸の六甲山中腹?の鈴蘭台に住んでいると。だったら行きは良い良い帰りは苦しいですねなんて外交辞令のような事を言った。そのアマレス試合着おじさんライダーは何気ない顔で、実は昨日倉敷まで行って来て帰りに自宅に戻る前にもう少し距離を伸ばそうと六甲アイランドまで足を運んだと。がぁ〜ん、倉敷まで何キロあるんだ?全走行距離は300キロ?。昨夜は野宿したみたい、途中雨にもあったみたい、だから泥だらけなんだ。訝る悪しき気持ちから憧れと尊敬の念へと変わったボンジョルノでありました。
私も眺めてニヤニヤしてるだけでなくて漕ぎ出さないともったいないと思った日曜日の昼下がりの出来事。
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