もうすぐ年に一度の本当の意味での棚卸し。その前に定番で使っていない革たちを整理整頓し巻き直すのが毎年の儀式。私は鞄好きという前に革フェチなのかもしれない。巻いた状態でも指先で触るだけでその革が何なのかは分かるし質の良し悪しも判断できる(色は見ないと分からないけれど)。昔日本最大のニッピの倉庫の山積みの革から指先で触ってチョイスした事があったが、そのチョイスは正解だった。今はもう入手困難な珠玉の革たちと出会える年に一度のボンジョルノレザーコレクションの一部をご紹介〜。
あぁ〜こいう裁断をハミは躊躇なくしてしまうから、その後の利用方法を考える私は大変。革のシルクと呼ばれたフランスの最高級シープナッパの「ブロンジェ」をです。これは今回「ポンテ」で使う目処がついた。この繊細な肌触りはベビーカーフであっても牛革では作り得ない。
ブロンジェは一枚全裁で60デシ前後です。小さいですね〜。
ベビーカーフでこれ以上繊細には仕上げれないであろう、日本のタンナー「TEIKA」が作った幻のメイドインジャパンレザー。私とハミはこの革を見た時世界一のカーフだと思った。その世界一の日本製レザーをル・ボナーの定番革として使いたいと願った。
そしてサンプルで多色仕入れこの革を生かせるカタチを模索していた矢先、日本の市場はいくら良い革を作っても輸入革並みの価格のこの革より名のある輸入革を選ぶと、タンナー自体を廃業してしまった。在庫は借金してでも買いたいと伝えたが、この世界に誇れるカーフを認めようとしない日本での処分はしたくないと言い、中国で二束三文の値段で処分してしまった。そして現在このテイカの革は日本ではル・ボナーが少量持っているだけかもしれない。今見ても世界に誇れる革だとつくづくおもう。
これがカーフヌバックです。トラ模様そのまま残ったヌバックなんて世界探してもないのではないでしょうか。
これもテイカのカーフ。あまりに緻密ななめしでそれでいてしなやか。日本のなめしレベルは本気出せば世界最高峰であることを伝えたこの革たちはもう作れない。
次はイタリア・フラスキー二社のカーフたち。今もタンナーは存在しているけれど私が愛してやまないねっとりカーフはもう作れない。型押しですらねっとりした質感。この革で数年前残心シリーズの革小物を作った事があったけれど特別だった。また作れるだけの革は残ってる。
ビューカーフの赤。イタリアンレッド「ロッソ」はこれかなと思う。
これが今まで見て触って最も驚いたボックスカーフ系の黒。手に吸い付く様なねっとり感は20年以上熟成されて増している。もう味わうことのできない過去のフラスキー二の革たちでこれからも小出しに作っていこうと思う。
フランスのデュ・プイが作ったマットな質感が特別な「ロダニール」です。クロームなめしだのに素敵なエージングをする事に驚いた。この革以外にマローカーフやフジカーフも少しまだ持っている。今のデュ・プイ社には作れない素敵な革たち。
ドイツのサイフィアンゴートの赤もまだあった。このタンナーも廃業しちゃった。
世界第2位の規模だったスウェーデンのタンナー「ボルゲ」社のカリブー。この革はエルメスの革ジャンパーに使われていて良いなと思った。鹿系の革なので表皮は使っていて剥がれて起毛してくるだろうけれど、そうなってからが大変丈夫。私はこの革で何も入れないとクタ〜となるボストンバッグを作りたいと思った。
これもボルゲ社の「フェルディナンドカーフ」。カリブーによく似た質感ではあるけれど、カーフなのでカリブーに比べると表皮は数段丈夫。この革で最初に作ったハンドバッグが「フェルディー」。バッグの名前は使った革が元。しかしボルゲ社も廃業してしまい今はル・ボナーに少し残っているのみ。大好きな革だった。当時シュランケンカーフより高価な革だった。
素敵だと思う革がこの世の中からどんどん消えて行く。革を作る国の個性が強く出ていた時代はもう思い出、そんな今という時代に抗いながら魅力を失っていない革を使っていきたいと思う。
この珠玉の革たちの内どれかで、ちかぢか残心小銭入れをつくるご予定はありますか?
以前フラスキーニ革のを買い逃してしまいました。