定休日の水曜日、新作やこれからの事を打ち合わせる為に東京へ。目的地は葛飾堀切にある猪瀬さん。ここは三代続くメーカーさん。鞄業界でのメーカーの立場は、企画販売をする問屋から量産の製造を請け負うリスキーな位置にある。多くのメーカーが海外に製造拠点を移す中、猪瀬さんは昔ながらの日本的製造メーカーとして今に至っている。ル・ボナー製品の多くは三組の組み上げ職人さんにお願いしている。その内二組は猪瀬さんのところの職人さんにお願いしている。今の時代、組み上げ職人さんも速さが最も重要視される。丁寧だけれど遅い職人さんは厳しい。でも私たちのような零細ブランドだと遅くて工賃が高めでも良い関係を作れる。もう猪瀬さんと付き合い始めて10年以上の年月が経った。
この木造の大きなアパートのような猪瀬さんの社屋が私は大好きだ。会社規模だともっと立派な鉄筋コンクリートの社屋だって全然おかしくない。実際、同規模のメーカーさんはもっと立派だ(猪瀬さん、ごめんなさい)。でもそこが素敵な建て増しを加えながら昭和の風情を残して築50年以上の(株)猪瀬の本社屋。従業員の平均年齢は30半ばで建物とはギャップ有り有りの、ワクワクする未来を築ける老舗メーカーさんです。
今回は新作の細かな部分の打ち合わせと、今年の予定を話し合った。一番の懸案事項の「ビィジー・リュック」は複雑な為、新たに組み上げをお願いする職人さんを加えたいと。丁寧で綺麗な仕事をする事ではピカイチな職人さんなんだけれど、猪瀬さんと請負い関係にある職人さんの中で最も手が遅くて完成予定がたてれない職人さんだそうだ。少し怖い気がするけれど良いものが組み上がるなら試してもいいかぁ〜。
裁断と手配全般をする一階生産部門のスペース。
この階段の味わい最高。この階段を上がると縫製関係の什器がいっぱいの製造部門のスペース。
2階の木の床は歩くとギーギーなる。什器の重さに耐えれるのかと心配になるけれど大丈夫らしい。
6時間ほどの打ち合わせを終え三代目に送ってもらった。彼は今年40歳、アナログで斜陽なこの業界でやりがいを感じている。非常にビジネスライクでなくて海千山千いっぱいのこの業界で、縁あって誠意を持った人たちと出会え、一緒に素敵な仕事が出来ている今を幸せに思う。これからも一緒にワクワクするカタチを生み出していきたい。
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