
今年もダイアリーノートの季節がやって来ました。この季節になるとル・ボナーでは革のノートカバーを毎年作っています。大和出版印刷さんが毎年作っている万年筆の書き味に拘ってオリジナルで作った、リスシオ1の紙を使った四角のダイアリーノート用に。ダイアリーノートは毎年買い替えるけれど、その革カバーの方は皆さんに行き渡っているからもう作らないでいいんじゃないかと思っていたボンジョルノ。でも「松本さんの好きな革で作っていいですよ。」と言うP&Mの吉宗さんの言葉に乗せられ作る事に。

なので今回使う革は何にしようかなぁ〜と楽しく迷った挙げ句、相当にクセがあるイタリア・フラスキーニ社の20年以上前に作られた革を使う事に。この革は革屋のサライ商事さんの棚の奥の方にず〜っと眠ていた、サンプルで入手したカーフのショルダー(肩)部分の革。トラ模様が強烈でその上黒い斑点とかがいっぱいあってその上高価で売れる気配なくず〜っとストックされていたらしい。でもフラスキーニらしいクローム革の魅力十分な革だったので使う当てはなかったけれど私が買って、ル・ボナーの革棚にず〜っと眠っていたイタリアンねっとり革。ワインの熟成と同じで良い革は寝かすと熟成する。

フラスキーニ社は今では顔料厚塗りの革しか作れなくなったイタリアのクローム革のタンナーだけれど、昔は独特のなめしを頑固に守っていた。普通クロームなめしの革は、ピット槽を毎回洗浄して作る。でもフラスキーニ社の場合はそのクローム槽を洗浄する事なく継ぎ足して革をなめす。まるで秘伝のうなぎのタレのように。その事で独特のねっとり感を生み出す革を作り続けていた。その頃作られたフラスキーニ社のカーフを私は色々収集している。イタリアのクローム革がまだ独自の魅力を発散していた時代へのノスタルジーとでも言いましょうか。

今回使ったフラスキーニのカーフはクロームなめしだのに染料染めオンリー。その上傷や黒い斑点が多くあり量産で作るとしたらまず使えない代物。でもそれに目を瞑ってでも現行のクローム革では見る事が出来ない革の魅力を発散している。これでロッソ(赤)です。どうみてもワイン色。赤染料が何かと融合してこの色になったのだろう。

相当カット段階で苦労しましたがそれでもトラ模様や傷あります。染料のみなので扱い方によって悲惨な状態を招きます。でもうまく育てるとこれは革の宝石のはずです。この革はデリケートクリームを塗りながら乾拭きがお勧め。20世紀末を最後に消え去ったイタリアンクローム革の妖艶な質感を楽しんでみてください。

内側に使った革はドイツのサフィアンゴート。この革を作っていたタンナーも廃業してしまいもう新しくは入手出来ない表面がきらきら輝く山羊革の宝石のような革。この革も在庫少なくブラウンとダークブラウンで半分ずつ。合計限定20個の生産。Pen and message.さんと分度器ドットコムさんでの販売となります。作った本人のル・ボナーには置いておりません。いや革が足りなくて置く数作れなかった。税込み15,750円にて2店での限定発売です。
この後ダイアリーノート発売元の大和出版印刷さん用のダイアリー革カバーを作らないと。大和さん用はシュランケンカーフのアイリスとコーン。内側に使う革色は出来上がってからのお楽しみ。こちらは税込み12,600円での販売となります。
とても素敵な革ですね。
きれいな色。
さわり心地はどのような感じでしょうか。いつから販売されますか。
Re: ボンジョルノ より
ごめんなさい。
発売当日に完売してしまいました。