ル・ボナーの一日
やはり「フラスキーニ」のデッドストック革使おうかなぁ〜
2012年09月03日
今年も神戸シンジケート?企画の四角いダイアリーノートの季節がやって来ました。そして私の思いとは関係なくその革カバーを作らないといけません。今年も四角いダイアリーノートを購入するお客様は大部分がリピータだろうから、もう作らなくてもいいじゃないの?と消極的なボンジョルノ。でもP&Mの吉宗さんの「松本さんの好きな革で作って良いですよ」の言葉に、俄然革好きボンジョルの琴線に触れて、作りたいという衝動が生じた。どの革使おうかなぁ〜?。
せっかくの機会だから、ル・ボナーしか持っていないであろうデッドストック革を使おう。そして革置き場にて革棚の奥の方からストックしているボンジョルノコレクションの革を引っ張り出して思案するのだった。このねっとりしっとりのソフトレザーは素晴らしい。でもハードタイプのダイアリーカバーに使うには向かない革。
そして目に止まったのがフラスキーニ社のデッドストック革。フラスキーニ社の革の裏には「BURENTA』のいう判が押してある。これは北イタリアのブレンタ川沿いで作っていると言う事らしい。今では顔料厚塗り革しか作らなくなったタンナーなので現行の革は使わないけれど、一昔前までは最もイタリアらしいねっとりしたクローム革を作っていた。
クロームなめしの革の場合はクローム液をその都度洗浄して入れ替えてピット槽に漬ける。一昔前のフラスキーニーはそういう常識は無視して、うなぎの秘伝のタレのように交換する事なく継ぎ足して使っいて、その事で特別ねっとりしたクロームなめしの革を作っていた。きっと科学では解明できない?何かが作用して、その時代のフラスキーニの革は特別だったのだろう。異臭(アンモニア臭)はするし革表面は傷付き易いし綺麗ではない。でもそういう欠点に目を瞑っても使いたい魅力的ななめしの革だった。そのフラスキーニのイタリアンカーフでもロッソ(赤)は特別。
このフラスキーニのボックスカーフ系の革も色はロッソ(赤)どう見てもワイン(バーガンディー)でしょうと思うけれどイタリア的には赤だそうだ。その独特の濃厚さは牛の血を混ぜていると言われていた。そのデッドストックしていたフラスキーニのロッソで、今回のダイアリーカバーは作ってみたいなと思った。この革で作るときっと革の持つ奥深さを感じて頂けるはず。
そして内側の革もいつものブッテーロじゃない方が楽しいなと思い見ていたら、このドイツの今はタンナー自体が廃業してしまって作れないサフィアンゴートが目に止まった。凄く面白いゴート(山羊)革だ。でも表のロッソと会わせ難い色しか在庫がない。ここは思案のしどころ。
絵はその絵に合った額縁に入れるとより魅力的になる。私たちの仕事もその額縁職人さんに似ている。素敵な革と出会ったらその革自体が主張している。それをより魅力的に見せるのが私たちの仕事だとこの頃思う。作る事を楽しみながら。
Le Bonheur (21:29) | コメント(1)
牛の血ならアルブミン等でしょうか…
そして洗浄をしてないなら分解された成分かと考えましたが、六価クロムのような革へ入りやすいものが発生して還元された可能性も考えられますね。
科学で解明できないものはないので、調査ができる環境さえあれば解明できるはずだったんですがね…