ル・ボナーの一日
手縫いな日々
2012年03月24日
現在ダレスバッグのトップ枠の手縫いの日々です。1本の太ダレスのトップ一周を手縫いするのに要する時間は2時間半。なのでその事だけに集中出来たとして一日3本。まずそうは行かない。なので相当な日数手縫いの日々がこれから続く。
ダレスのフレームを本体に縫い付ける事はカーブ部分が邪魔してミシンでは縫えないみたいだけれど、工夫すればミシンでも縫える。その上菱切りでステッチ目を開けてから縫うと手縫い風にも縫う事が出来る。しかしル・ボナーではあえて手縫いで仕上げている。軽量化の為にル・ボナーではダレスの枠はアルミを使っている。その上スマートに仕上げたいのでギリギリまで細い枠を使っている。
枠錠前タイプで15mm幅。全面の錠前がくるオーソドックスなダレスにいたっては12mm幅。アルミ枠でこの細さをミシンで縫うと、荷物を入れた時の重さの負担を繰り返す事で早く枠が変形する恐れがある。ミシン縫いの場合絞りが甘くなるけれど、手縫いだとぎちぎちにステッチを絞る事が出来る。その事でアルミフレームを包む革の弛みが生じる事を防ぎ変形しぬくくなる。なのでル・ボナーで作るフレームトップのバッグの枠は手縫いで仕上げている。
手縫いとミシン縫いは菱穴の方向が反対。なのでフランスのH社の場合も「全て手縫いで仕上げています」とお店の人は言うけれど、そうでないと菱穴の方向で分かる。それよりH社の場合弱い麻糸をミシンで縫っている技術の方が凄いと思う。この凄さは麻糸をミシンで縫ってみたらわかる。まず出来ないはずだ。ただ菱切りで穴を開けてから丸針使って丈夫な化学繊維の糸で縫うと手縫いと同じにミシン縫いも見える。それを手縫いですと言って売っているトップフレームバッグも巷では多くみかける。その場合手縫いかミシン縫いかを見分ける方法は裏糸(下糸)を見て判断する。ミシンで太い糸を表に使った場合、裏糸は必ず表より細い糸になっているはず。手縫いは表裏同じ太さの糸以外あり得ない。
などと言っているけれど、私の場合手縫いに拘ってはいない。なので手縫いする場合もすり切れにくい強度がある化学繊維系のビニモ糸を使って縫っているので、麻糸使った味わいのある手縫いではない。それにしても手縫いしている時は全然眠くならない。それに比べ作業の中で一番眠くなるのはコバ磨きしている時。なので時間はかかるけれど手縫いするのは結構楽しい作業だ。
まずはご注文を多く受けている太ダレスから仕上げています。前回作った枠錠前タイプが結構好評だったので、オーソドックスなタイプと今回は半々作っています。黒、ネイビー、チョコ、ワインの4色で合計22本。そのうち半分は長くお持ち頂いているお客様の分。頑張ります。
Le Bonheur (21:40) | コメント(3)
Comments
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素晴らしい写真と記事。読み応えがありました。
太ダレスの後でもいいので、新・細ダレスもがんばってください。
Re: ボンジョルノ より
細ダレスの手縫いは少し休憩をはさんで、
4月後半からになります。
楽しみに待っていてください。 -
本日、初めてお邪魔して文庫カバーを購入させていただいた者です。店頭にあったネイビーのダレスを見て、本当に気品と風格ある鞄で素晴らしかったです。
太ダレスは別のを持っているのでそれを大事に使うとして、細ダレスが完成した際にはぜひ購入したいと思います。
Re: ボンジョルノ より
細ダレスは今回から新型で登場です。
完成は4月後半です。
楽しみに待っていてください。
「お願いだから邪魔しに来ないで」、「手が止まるようなものを見せに来ないで、送らないで」という言葉が、サブリミナル効果のように入れこまれてるような文面。いろんな誘惑をはねのけつつ、手縫いを敢行されてて、これを見ると立派な職人じゃないですか。
Re: ボンジョルノ より
そんな事はありません。
遊びに来てください。
でもあの動画良いですね。
今日もバックグランドミュージックでず〜っと流してます。