10年の間にこのシュランケンカーフの良さもようやく認知され、多くの独立系鞄職人の方々にも使われるようになり、今では特殊な色は除いて定番10色をサライ商事さんで大量にストックしてくれるシステムになった。なので定番の10色は入荷してから必要な分だけ買えばよくなったと私は安心していた。そして10月始めに入荷するという色を用心の為入荷前に注文したら何と言う事だ、入荷前に完売だと言う。1色2万デシ(カーフ革約100枚)のペースを年4回以上仕入れているのにストックされる事なく売れているのだ。高価で縫製しずらい革だのに、驚きのブレーク状態。ペリンガー社はここまで日本のサライ商事が大量の注文を出すとは思っていなかったようで、生産が追いつかない状態であたふたしているそうな。私たちもシュランケンカーフの仕入れ方法を再検討しないと。電話口のサライの副社長だけがウハウハモード。
シュランケンカーフという革は、発色の良さがまず印象に残る革だけれど、使い込んでその本当の良さが分かる。タンニンなめしの革のエージングしていく様は捨てがたい魅力ではあるけれど、色変化せず痩せずに革の腰がなくなる変化をするシュランケンカーフの馴染みはそれ以上の皮革の魅力を私に伝える。
1年半毎日使っているこのライムグリーンのパパスも、硬さが消え餅っとした質感に馴染んでもう手放せない。お手入れらしいお手入れせずに1年半使っているけれど、こんな明るい色だのに汚れもまだ気になるレベルではない。
そのパパスに入れて持ち歩いているバイオレットのポーチ・ピッコロも馴染んで来た。革表面に光沢も出て来て新品時より良い感じ。
ペリンガー社の作るクローム革は良い。フランスの大手タンナーの革たちで経験する事が出来なかったクローム革の上等な馴染みを味わえる。クローム革はタンニン革のようなエージングはしないけれど、良くなめされたクローム革は魅力的な変化を見せる。それはシュランケンカーフだけではなくてペリンガー社が作る最高級カーフ・クリスペルカーフにおいても同じ。
緻密な上質を感じさせるクリスペルカーフ。使い込むとその良さをより強く感じさせる。この革も黒とダークブラウンだけでなくて色を揃えてくれると嬉しいけれど、高価(コードバンより高ぁ〜い)過ぎてそれはサライ商事はしないだろうな。といってロットで注文する勇気は私にもない。
あっそうだ。サライさんがペリンガー社の革で、シュランケン並みに10色揃えてストックしている革を忘れていた。フランスの高級ブランドH社がボーグレネクーシュベルという名前で使っている革と同じ型押しのカーフ革の「ノブレッサ」。このタイプの革はフランスのデュ・プイ社の同じタイプのチェルケスという革を一時ル・ボナーの定番革として使っていた事があったけれど、質が低下して使うのを辞めた。しかしペリンガー社の作る型押し革なら良いかも。次回生産予定のトートバッグで使う事にしよう。バッグ以上に革小物に使うのにはベストの革かもしれない。シュランケンでは定番でストックしてくれていないライムグリーンもあるじゃないですか。
今ペリンガー社の革が私の一押し。でも皆さんあまり買わないでください。サライ商事を益々横柄な革屋にする事になります。それと私たちが欲しい時ない事がしばしばなので。でもヨーロッパのクローム革のタンナーが軒並み品質を低下させている中、クロームなめしのタンナーとしては小規模な家内工業的なペリンガー社は、ドイツ人らしい律儀さで魅力的な革を作り続けている。そんなタンナーと知り合えて良かった。クロームなめし革の良心。
シュラケンカーフがブレイクしているとのことですが、そのブームを創っているのはこのブログのような気がしています。
シュラケンカーフに限りませんが、革の魅力を的確に表現して美しい写真で紹介しているこのブログの影響はかなりあると思います。
これからも楽しみにしていますのでよろしくお願いします。
Re:ボンジョルノより
サライの副社長にもそう言われました。
まあ良い革が認知されて刺激を業界に与える事は良い事かもしれません。
頑張ります。