先日久しぶりに大和出版印刷の若社長が来てくれた。何時もは陽気な話しに終始する社長@大和氏なれど、その日の話しは深く私の心に染み入った。去年後半から社長の決断で会社規模から考えるとオーバースペックかと思ってしまうほどのハイレベルの印刷機器へと移行している。会社は当然利益を出す事が大事で、自社内で印刷しなくても営業力があれば利益を生み出す事が出来る。でもそれだけでは印刷屋という家業を続ける企業価値の部分が満たされない。現在でも兵庫県内では高い印刷技術を誇る大和出版印刷株式会社ではあるけれど、日本にはそれ以上にプロの目で見ると素晴らしい印刷物を作り続けている誇り高き印刷屋さんがある。印刷機がどんなに素晴らしくても、取り扱い説明書通りだとその高みには及ばない。印刷業界は現在では最もハイテク化している業界の一つ。ただ操作する職人の経験と研究心から生まれる絶妙な塩梅がその機械をより生かす。要は最後は人(職人)。その職人が思う存分経験と技術を生かす事が出来る環境を整えた。4代家業として続く会社である大和出版印刷は、印刷屋さんとしてより高みを目指す。プロが別格と認める印刷のレベルを求めて。プロカメラマンが写真集を出す時などに名指しされるような印刷屋さんになる日は近い。それが社長@大和氏が願う自社のアイデンティティ。
そんな社長@大和氏から思いがけない素敵な仕事の依頼があった。デザインや仕様はボンジョルノにお任せ。唯一の要望は指揮棒ケースの入るサイズのブリーフケース。制約の少ないこういった仕事はワクワクする。脳下垂体が刺激され即座にイメージが湧いた。この依頼はず〜と考えていたけれど実現できなかったル・ボナーらしさ表現した高級ソフトブリーフケース誕生のきっかけになる予感。
早速発想したイメージを4分の1縮小サイズで描いています。革の厚みも考慮して絵にします。デザインは悶々と考え続けてもなかなか生まれない。背中を押してもらうと、すっと生まれたりする。今回が正にそんな感じ。社長@大和氏の申し出が、沈滞気味だった鞄職人の魂を目覚めさて頂いた。小さな個人企業のル・ボナーだけれど、私たちのアイデンティティも思い起こさせてもらった。
すばらしい覇気
誰ぞの歌のように、「No.1じゃなくてもオンリーワンでいい」というような甘い世界ではなく、技術の分野では、その世界でオンリーワンであるためには、技術的にNo.1であることが必要で、業界での生き残りのためのオンリーワン戦略。前途洋洋か。
Re:ボンジョルノより
どんなハイテク分野でも最後に差が出るのは職人の塩梅。その部分が日本の価値に益々なっていくと思うのです。その事思いながら職人であり続けたいと思いました。革カバンは逆に大変ローテクですが。