ル・ボナーの一日

棚卸ししながら革を愛でる

2011年01月05日

今日は朝から倉庫で革の棚卸し。本当は去年中にやらないといけない年に一度の面倒な作業。特に在庫の革を調べるのは結構力仕事。一番いっぱい在庫があるシュランケンカーフは4枚まとめて巻いているので移動巻き直しが重ぉ〜い。でも楽しみもある。一年に一度の全部の革たちとの面会の機会でもある。大掃除で畳を上げて、その下に敷いていて古い新聞の記事を読み入ってしまうように、定番では使えなくなった少量残った素敵な革たちとの再会のひと時。 R0013939.JPG イタリア・フラスキーニ社が昔作っていたイタリアンカーフは特に好きだ。その中でもワイン色の「ムスタング」は特に好きな革。クロームなめしだのにフラスキーニ独特のピット槽ゆえに作り出されたねっとりした質感と深みは特別だ。その中でもワイン色は特に良い。今年のドイツ・ペリンガー社の社長さんとのミーティングの時には、この質感と深み持った革の復刻をお願いしようと思っています。難しい要望だとは思っているけれど。

私は革が好きです。私のコレクター魂が最も長く濃密に続いているのが革の収集。特別な時しか飲まないワインをワインセラーに収集するコレクターのように、私は定番で使う革たちと一緒に特別な革を収集している。でも哺乳類の革に限定されます。それ以外の革になるとなめしの良し悪しが分からないからです。時々お客様の要望でワニやオーストリッチなどの革でも鞄を作りはしましたが、その革たちは高価ではあるけれど、その革たちが良いなめしをされているかいなかは判断出来ないのです。それに比べ哺乳類の革なら目をつぶって指先で触っただけで私なりに判断が出来る。これは私の自慢の特技です。35年もそれを生業にしてきたのだから当たり前か。 R0013935.JPG 在庫の中にまだブロンジュの革もあった。世界最高峰のラムナッパを作るフランスのタンナーのボダンジョアー社の革です。大変高級な羊の革です。サンプルで仕入れたけれど、やはり高価すぎて定番革として使えなかったシルクのような革。久しぶりに開けてみると〜。ハミらしい裁断後の革だったぁ〜。

ど真ん中を躊躇なく裁断。これが職人ハミの真骨頂。芯材を革の裏に貼らないで作る鞄の場合は、四方に伸び方向がある革素材の場合はこの裁断方法がベストなのは私だって理解出来る。でもこの裁断を私は決行できない。ハミはいつも決行する。 R0013940.JPG 明日はル・ボナーはお休みの木曜日。
でも年に一度の革たち全員との再会の時間は続く。
明日はどんな革と再会できるかな。

Le Bonheur (21:57) | コメント(0)

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