私はこんな対費用効果から考えて納得出来ないデジカメはいらないと考えていた。ライカは銀塩のM3があれば、その佇まいを味わい、撮るまでの所作を楽しみ、シャッターを切った時の音色に酔える。それで十分なはずだった。ただデジタルからカメラ趣味に入っていった私にはM3を楽しむハードルの高さを越えれないでいた。そんな時、甘い誘惑の声がかかった。友人が所有していたM9のセンサーが割れて、そのリコール交換修理に6ヶ月かかる。それが待てなくてMをローンで買っちゃた。なのでM9が戻ってきたら中古カメラ屋さんでの下取り価格で譲るよと言う。使って楽しくなければ売れば少しは手間賃ぐらいは出るし入手する事にした。これはボンジョルノ・テブレッソン松本にとって水戸黄門の家紋入り印籠ような存在だろうと思っていた。
そのライカM9がこれ。ボディの材質の質感はデジカメで唯一無二の存在感。使って塗装が削れた角面も味わいあると思ってしまう私はライカマジックの術中にはまったかも。まず驚いたのが機能が極端にチープで画像がデジタルなだけで後は極めてアナログな操作は銀塩カメラ以下。その上よくバグる。
凄いのはピントが合っているか確認出来ない荒い液晶画面。パソコンで見るまではちゃんと撮れてるか分からなく、見てのお楽しみ。ここまで液晶画面に依存できない粗末さに恐れ入る。
撮れる画像には期待していなかった。でも撮れた画像に驚いた。RAWで撮ってそのままでも抜けが抜群。高級なトイカメラ画像みたいと言う人もいるけれど、ライカの世界が確かに其処にはあった。ライカレンズじゃなくて他社の1/10の価格で入手出来るレンズで撮っても違いはあきらか。
アメリカ東海岸出張に間に合って撮った上二枚。これはノクトンクラシック35mmF1.4SCで。まだ慣れていなかったけれど楽しく撮れた。
レンジファインダーでのピント合わせはこれからの課題。それさえ鍛錬し把握すれば、ボンジョルノ・テブレッソン松本の求めるカメラ趣味の理想形かも。
慣れてきてCOLOR-SKOPAR21mmF4で撮った画像。抜けてます、抜けは画素数ではないと実感した。M9は1800万画素。
その日のマジックアワーの空の色は、実際はもう少し淡かったと思うけれど、M9を通すと心象風景に近い絵となる。RAW撮って出し。
夜だって三脚使えば抜けた画像が撮れる。
現行のライカMは今やボディだけで100万オーバーの高嶺の花。その一世代前のM9も、中古市場で確認しても手の出る価格ではない。しかし縁あって私の元へやって来た。いつも提げてる大きなアクセサリーとしてだけでなく使いたい。
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