ル・ボナーの一日
クラシックバファロー
2008年03月04日
サライ商事の常務が棚卸していたら昔のイタリア・フラスキーニ社の革が少し見つかったと送ってきてくれました。素敵な時代のフラスキーニのクロームなめしのカーフは現在のイタリアのクロームなめしの革には感じる事の出来ない色香を持った革。使う予定はないけれど独特のなめし技法で作っていた時代のフラスキーニのイタリアンカーフはコレクトしないと。かなり持っているほうですがいつ使うのか。良い革を見ると想像力が広がる。届いた革たちを拝見~。
ビューカーフは色違いでは持っていますがタン色は初めて。マットな質感が良好。イタリアのクロームなめしの革は色っぽかった。現在ではそのイタリアらしい味わいのクロームなめしの革は知りません。それに比べタンニンなめしの革はイタリアらしさムンムンです。でもタンニンなめしの革ではカジュアルになってしまう。シックな色気あるハンドバッグは作れない。
フラスキーニが作る衣料用皮革。これで革のコートや手袋作ったら上等な風合いに出来上がることでしょう。サライ商事の棚の隅で、長い年月眠っていただろうに、まだその時代のフラスキーニの革だけが持っている独特のアンモニア臭がプンプン匂う。多くの欠点はあるものの、色香を感じる革という一点だけに特化した過去のフラスキーニの革たちの潔さが私は大好きです。
革のシルクと呼ばれるシープナッパを作っているフランスのボダンジョアー社のシープヌバック。子羊のきめの細かな表皮を擦った革。上等過ぎます。これでパフを作ると素敵だけれど、1枚では作れない。
それとクラシックカーフという水牛(通称バッファロー)の子牛を揉んだり磨いたり色々試しで後処理した革たちを送ってきた。クラシックカーフは経年変化を楽しむことが出来る小物に適した革です。昔イギリスのピアス社というタンナーで作っていた頃のクラシックカーフはよく使っていた。ピアス社は狂牛病がイギリスで話題になった頃なくなり、その後他のタンナーで作るようになったクラシックカーフは私たちの望むクラシックカーフではなくなったので使わなくなった。今回届いたクラシックカーフも定番で使う気にはならない。
先日革製品をすぐクンクンと匂いを嗅ぐ革フェチの大和出版印刷の若社長が来て言っていた。「色々ル・ボナーの革製品を使っているけれど、最初に買った折財布と小銭入れに使っているこの革が一番好きなんだよなぁ~」と。7~8年になるその財布と小銭入れに使っている革はピアス社のクラシックカーフです。良い艶が出ていてまだまだ十分現役でいけるけれど、長財布を同じ革で作って欲しいと2年ほど前から頼まれているのだけれど作っていない。だってもう同じピアス社のクラシックカーフはないし、あれこれ注文が多いんだもん。でも私の我儘なお願いを形にしてくれたし(上製本仕様のノート)、そろそろ作ろうかなぁ~。
でもピアス社のクラシックバッファローはもうありません。革棚を見ていてクラシックバッファロー以上に上等で、質感の感触がよく似た革を入手していたことを思い出した。
それはイタリアのタンニンなめしのベビィーカーフ(生後3ヶ月)。時間はかけてなめしているけれど素朴な仕上げのその革は、ピアス社のクラシックバッファローの質感でありながらキメ細やかになった感じ。この革なら革フェチの若社長も狂気乱舞するにちがいなぁ~い。良い革だとか、上等な革だとか色々な判断基準はあるだろうけれど、個々の思い出に寄り添った革が一番。
Le Bonheur (21:13) | コメント(0)
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