ル・ボナーの一日

職人の思い伝わる上製本仕様の特別なノート

2007年12月25日

閉店間近、待ちに待った上製本仕様のノートが出来上がり、このプロジェクトを中心になって進めていただいた大和出版印刷の川崎さんにとどけていただいた。 この企てを大和出版印刷の若社長に持ちかけてから1年4か月。 出来あがったノートを目の前にして、感慨深い心情の川崎さんと私、、、、 %E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%EF%BC%95%EF%BC%89.JPG 出来あがった上製本仕様の特別なノートは、このノート製作に関わったみんなの思いを受け止めてあまりある素晴らしい仕上がり。 閉店後の明かりを消したお店で、罫線だけが続くノートのページをめくりながらお金だけでは買えないモノのことを考えていました。 去年の夏、この企てを大和出版印刷の会議室に社員の半数の人に集まってもらいプレゼンし、古山画伯にも相談し始まった。 まずは紙の選定。万年筆くらぶ会長の中谷でべそさんや多くの万年筆好きの人たちに何十種類ものサンプルの紙に書き味を試してもらい、バガス紙とコンケラーCX22が残った。コンケラーは知名度もある高級紙、バガスはコンケラーより金額は高いのに無名。 私たちは無名で高価でも万年筆の書き味が上との理由で、この砂糖きびの糖分を抽出した後の植物繊維で作ったバガス紙を選んだ。 企画途中にバガス紙の生産停止という事態に遭遇し、あるだけのバガス紙を買い集め作れたのが全部で200冊分ほど。本当の限定品になってしまいました。 %E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%EF%BC%94%EF%BC%89.JPG 製本は神戸一の製本職人、前田さんにお願いした。 80歳を過ぎた前田さんは現在、会社報をまとめて合本にしたり、特別なオーダー品の製本を中心に小ロットの仕事をされていますが、この企てを聞き集大成との気持ちでこのノートの製本を受けていただいた。 途中前田さんの入院もあり、この企ては頓挫してしまうかと思う時期をありましたが、退院後前田さんを師と仰ぐ須田製本所の協力を得て、前田さんの集大成の上製本の特別なノートは完成しました。 美しく、清い仕上がりです。 200冊あまりの製本は、緻密で豊かな表情を均一に伝えます。豊かな丸背の丸みとノートの淵の曲線が平行で、切り口は波状していない見事に均一。飾りが皆無のシンプルなデザインの上製本仕様ゆえ、職人の技術力とセンスが仕上がりを左右する。 お金だけでは買えない職人の誠意という価値を伝える上製本仕様に仕上がったのではないでしょうか。 私は工業製品を誠意を持って特別で均一な品に仕上げる職人芸に対して尊敬を感じています。 流れ作業の中で管理されて作る工業製品ではなく、一人の職人が自身の経験とセンスを最大限発揮して数を均一に高次元で仕上げた品は、芸術作品に劣るものでは決してない。 この上製本仕様のノートは、そんな誇り高き市井の製本職人の仕事です。 %E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%EF%BC%92%EF%BC%89.JPG この上製本仕様の特別なノートは神戸セレクション選定品として、絞りのペンケースと一緒に販売しています。 実際に見て、触れて、バガス紙の試し書きして購入したい人は吉宗さんのpen and messageかル・ボナーで。遠方で無理だぁ~という人は楽天で販売しています。 実際にこのノートを見たら、特別である事を分かっていただけると思います。 製本職人の誠意ある美しい仕事を感じていただけると思います。 %E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%EF%BC%93%EF%BC%89.JPG 活版印刷機ですった罫線が入っただけのバガス紙に、あなたの思い出綴って欲しい。 この特別なノートはそんな使い方が似合う、時の流れを共有できるお金だけでは買えない価値ある品。

Le Bonheur (22:07) | コメント(6)

Comments

  1. さわね より:

    ル・ボナー
    松本 様
    大変ご無沙汰をしております。
    本日、楽天にノート(上製本):紺・麻一冊ずつ注文をしました。松本さん含む職人さん達一人一人が、想いを込めて作ったノートは今から楽しみです。もったいなくて使えないかもしれません(笑)
    さて、8月に伺ったときに年末におじゃまをしますと言ったのですが、12月の半ばに、左足の肉離れをおこし、思うように歩けず伺えそうにありません。
    今度いつ伺えるのかなぁ。そのときは宜しくお願いします。

  2. ノブ より:

    ペンケースのすばらしさに感激し、このノートも紺・麻を各2冊注文しました。いろいろな人の想いと情熱の作品と呼べるノートですよね。早く手にしたいです。しかし私に何が書けるか、やはり考えてしまいます。それを考えるのが楽しいですね。

  3. さわね さん
    1冊は使って、1冊はコレクションするという人が多いようです。
    私は日付だけ記して、万年筆のヌラヌラ書き味楽しむ落書き帳になるでしょう。本当に万年筆で書いた時のバガス紙の書き味は抜群ヌラヌラ。ひっかかるペン先でも良いペン先ではと勘違いするほどです。紙がインクを吸い取ろうと働きかけているようですよ。
    もうすぐその感覚を体験できますよ。またお会いする日を楽しみに待っています。今度はどんな万年筆を見せていただけるのかな。

  4. ノブ さん
    4冊もですか。ありがとうございます。
    上製本仕様のこのノートは本当に美しく仕上がったと思います。届いたらノブさんの書斎を飾るアイテムとなると思います。
    このノートで万年筆と会話してください。
    この後絞り技法で作った革のペントレーを作る予定です。ペンケースと同じようにペンとペンが重ならないように仕切りがある3本用と5本用を考えています。
    文具関係の製品色々作りたいなぁ~とおもっております。

  5. Shino より:

    あけましておめでとうございます。
    私も2冊手に入れました。
    年末に手に入れたのですがその端正な佇まいがあまりに恐れ多くて書き出せず、やっと元旦に書き初めとしました。
    確かに万年筆愛好家のお墨付きだけあって素晴らしい書き味ですね。
    ペントレーも楽しみにしております。

  6. ル・ボナー松本 より:

    shino さん
    購入されたみなさん、あまりに気合の入った製本に恐れ入って、最初の一筆に躊躇するようであります。私もそうでありました。一度書いたらへっちゃらです。
    ペントレー頑張ります。昨日吉宗さんのお店で加藤セイサクジョカンパニーの鉛筆エクステンダーなるものを手に入れました。これ面白いです。

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