ル・ボナーの一日

美女とランドセルを背負ったオヤジたちのイタリア珍道中(7)

2007年10月01日

%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E5%AE%BF.jpg 私たちのローマの宿は修道院の宿舎です。シスターはみな英語も通じません。H女史が里帰りしているので、ジェスチャーで伝えるしか方法がありません。 昨日宿に戻るとシスターがフマーレ、フマーレと怖い顔。フマーレ(煙草)を吸っていたことがばれたのです。トイレの換気扇に顔を近づけて吸えばばれないと高をくくっていたのですが、分かったようです。その後会うたびに、フマーレ、フマーレと注意されます。私は二コレットを噛んで宿での喫煙を我慢する日々が2日続きました。海外旅行はシガリロの消費が半分以下になります。望んでそうしている訳ではないのですが。 %E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E5%AE%BF%E3%81%AE%E6%9C%9D%E9%A3%9F.jpg 修道院の宿舎の朝食は質素です。飽食続きの私たちにはこの方がいいのかも。 %E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E8%A6%B3%E5%85%89%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC.jpg 9月21日08:30 今日は8人乗りのベンツのワゴン車で市内観光。H女史以外の7人とイタリア人運転手さん。英語が話せる運転手さんなので、助手席にはネイティブな英語が話せる樫本氏に座っていただき出発。 コロッセオ、ホロロマーノ、トレビの泉、パンティオン、スペイン階段という風にお決まりのローマ観光コースを回る。途中運転手さんお勧めのローマ一美味しいカルボナーラを食べさせてくれるレストランで昼食をいただき、ローマの休日。日本人の観光客とはあまり会わなかったけれど、欧米の団体観光客が非常に多い。 %E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%BB%E3%82%AA.jpg 私は遺跡などにはあまり興味がない。2000年前の人々の生活を想像するイマジネーションが欠如しているのか、ローマの日常が垣間見える街並みや裏通りに興味がそそられる。 今回の旅行は、H女史のおかげでイタリアの3都市を戸惑うことなく旅行できました。メンバーの中の世界の樫本氏はイタリア語は全然ダメといいながら3カ国語を自由に話せるし、2人の女性も一人で海外旅行に行っても不自由することのない英語力を持っています。それに比べ残りの男4人はダメです。画伯はその図々しい精神力でなんとでもなると思いますが、3人は国際社会に出遅れた内弁慶であります。英語ぐらいは話せるようになるといいなぁ~と思いますが、このままなのだろうなぁ~。 %E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%90%8D%E7%89%A9.jpg パンティオン近くのカフェの名物、エスプレッソをシャーベットにして両方から生クリームでサンドイッチしたデザート。おじさんたちには甘さがちょっと強烈。女性陣は次の日もこの名物を食べにいったようであります。 %E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B3.jpg ダンテも通ったという、スペイン階段近くのカフェ・グレコの店内。良い雰囲気でありますが、お値段が高いからなのか、観光客ばかり。 %E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%81%E3%81%99%E3%82%8B%E7%94%BB%E4%BC%AF.jpg 時間があると、万年筆を走らせスケッチする画伯。彼の本職は画家であったことを気付かされる瞬間。 %E5%AE%BF%E8%BF%91%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3.jpg 夜H女史とご両親、友人のご夫婦と一緒に宿近くカジュアルなレストランテで、イタリアでの最後の晩餐。H女史のご両親は40年以上イタリアに住み、これからも住み続けます。娘さんのH女史はフランス駐在を終え今は日本、息子さんはアメリカ。お父上はテルミニ駅に日本のゲタを履いて迎えに来てくださり、そのゲタを履いたままイタリア的な運転で宿まで送っていただき、お母上は新鮮で美味しいさば寿司を作って迎えていただいた。お二人は年に一度は東京のH女史のマンションに滞在されるのだそうですが、近所付き合いが希薄になった都市生活者が多くなった日本に来ても、ご近所に、来るたび挨拶をし、住んでいるH女史より近所の方は知っているという日本に住む日本人より日本的なイタリア在住日本人のご夫婦です。ご夫婦のお話を聞いていると、現在の多くの日本人が失いかけている人情のようなものを、感じさせていただきます。 今回の旅行で、イタリアのバッグ作りの現場や、個人でバッグを作っている職人さんに会ってきました。去年訪れた時と同じような感想なのですが、イタリアも日本と同じような問題を抱えているように思いました。作る職人のことを考えていない。フランスやドイツのように作る人を大事に思う社会ではない。そのため素晴らしい物作り文化が昔あったイタリアは、グローバル経済の輪廻に飲み込まれつつあるように思えた。そんな中でも、もがき頑張っている人たちにエールを送りたい。過去にはカバン好きがドキドキするようなカバンをいっぱい作っていた。ルネサンスから続く職人の魂が、カバンからも感じられた。今は残念ながら見つけ出せない。しかし私はイタリアが大好きです。街の路地裏に不思議がいっぱいあって、大きな刺激をいただけます。 日本も同じような現状ですが、私達のような独立系の職人が頑張れる余地は残っている国だと思う。 過去の素晴らしい技術に刺激を受け、それを乗り越えてゆくカバン作りが日本でだったらできるように思う。ストレートにユーザーと接して作る独立系のカバン職人一人一人が切磋琢磨し、表現しつづければ、日本だったら伝えることができるように思った。今回のイタリア旅行も前回のイタリア旅行と同じ思いを強く持った旅でした。 イタリアはそんな私の感想などどうでもいいから人生楽しもうよと、おおらかな包容力で包み込む。そこがイタリアの最大の魅力。人生、仲間と一緒に遊んで、楽しければそれがなにより。 バチカンで迷子になりかけたた中谷でべそ万年筆くらぶ会長から年に2度、モンブランのヘミングウェイで手書きした封筒に入った会報が送られてきます。必ず「一緒に遊ぼう!!」と手書きしてあります。この言葉が私は大好きです。 今回のイタリア旅行の趣旨は、画伯の「鞄が欲しい2」の取材と鞄好きと革鞄、小物職人視察旅行ということになっていますが、それは表向きののもので、実際は楽しく一緒に遊びたい、それが異国のイタリアならなお楽しいというのが本音。苦楽は背中合わせ、プラスマイナス 0。要は感じるかどうか。 ドキドキし続けたい。みんなといっしょに。 11時30分の門限にギリギリセーフ。私は今夜もフマーレ(煙草)は部屋ですいません。 明日は夕方イタリアを後にします。その前にイタリアの裏通りを堪能したいと思っております。 シスター、お休みなさい。

Le Bonheur (21:18) | コメント(3)

Comments

  1. クワハラ より:

    松本さん、こんにちは。
    いつも、楽しく読ませて頂いております。本当に、イタリアは、宝石箱、おもちゃ箱、みたいなところなんですね。あ~いつか行ってみたい!!
    エスプレッソと生クリームのデザート、食べたい!!・・
    旅は、やはり食!!!!!
    特にデザートは、どこに行ってもしっかり覚えてるんです。
    いつか、ル・ボナーツアーで、連れて行って下さい。本気で待ってます。

  2. クワハラさん
    この夜のデザートは日本名ヘビいちごいっぱいの上にバニラのジェラードがたっぷり。イタリアのデザートはフランスと違って、見栄えより味の本質に重点をおいたものばかりです。これは美味しかった。
    ル・ボナー企画のイタリア旅行したいですね。体力勝負で、味わい深いけれど安い宿に泊まり(最後の日だけはクラシックな超高級ホテルに泊まるのもいいなぁ~)、食事だけはお金を気にせず、美味しいレストランテで食べます。ル・ボナーに集う魅力的なご夫婦を募って行けたら楽しいだろうなぁ~。

  3. 小市民ケーン より:

    松本 様
    以前、水谷時計修理店のことで相談させていただいたものです。イタリア旅行記、とても楽しく拝見させていただきました。旅行のドキドキ感が大変伝わりました。
     「鞄がほしい」を古本ですが、取り寄せてしまいました。こちらも楽しみにしています。
    失礼いたします。

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