ル・ボナーの一日
ウォーターベリーの掛け時計
2007年09月10日
アンティーク趣味の私の師匠であるK氏が、ご夫人と一緒に来られました。何やら大事そうに小脇に抱えておられる包みを開くと、中から先日話しておられたアンティークの掛け時計ではありませんか。ル・ボナーのお店に似合う掛け時計をと、K氏がたくさぁ~んコレクションしている中から選んで持ってきてくださった掛け時計は100年ほど前のウォーターベリー社が作った金色が渋い味に馴染んでいるハチカク時計。
早速K氏にセッティングしていただき時を刻む音色を聞くと、子供の頃の思い出が甦る。子供の頃学校から帰り玄関の戸を開けて「ただいまぁ~」というと、いつもは「お帰りなさい」と迎える母の声がしない時もある。そんな時の家の中は静寂に包まれて、ボンボン時計の時を刻む音だけ妙に記憶に残っています。掛け時計は過去にタイムスリップするノスタルジア。
今回貸し出していただいた掛け時計の音色はチックタク、チックタクではなくて私にはタントン、タントンと聞こえます。時を知らせる音は抑えたボ~ンボ~ンボン。なんて平和な心休まる音色なんだろうか。時を知らせる音色がボ~ンボンと店内に響くたびに、ハミと私は顔を見合わせて笑顔で無言の会話を交わします。ル・ボナーのBGMはタントン、タントン静かな時の刻み。
アンティークは優しく深い。当時高価な品であった訳で、そのため作る職人の思い入れも強く、使うオーナーも大事に思いながら使用し、そのことで時と共に艶やかにやれた風情が深みを増す。特別なモノとして長い時を越えて愛され続ける。そのことを重いと感じる人もいるだろうけれど、私はそんなアンティークが好きです。
K氏から借り受けたこのウォーターベリーの100年前の掛け時計はこれからル・ボナーを飾る大事なアイテムとして馴染み、来店するお客様たちをなごましてくれるのでしょう。ル・ボナーのこれからを一緒に一喜一憂していただける多くの顧客の人たちと知れ会えた私たちは幸せ者です。これからのル・ボナーも見守り続けてください。それぞれの顧客の人たちの人生の片隅に関わらせ続けさせてください。そんな関わりがかけがいのない事と思っている私たちです。
神戸でお店を持って良かった。柔らかな心根のモノ好きたちと知れ会えて、カバン作りを続けることで、多くの楽しい時間をこの場所でいただきました。ここ数年の間に、それまで鞄一筋だった?のに、抑えていたモノ好きの虫が疼き始めたのは困ったことではあるけれど、そのことで益々多くの顧客の人たちと親しくなれた訳で、人間万事塞翁が馬でありまぁ~す。
Le Bonheur (05:33) | コメント(0)
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