ル・ボナーの一日
豆カンナと念引き
2006年10月02日
私達がコバを処理する時、豆カンナと念引きは必需品です。
豆カンナはコバの角を削るため必要なのですが、私達は刃の厚みが薄くて、削る部分に真鍮の板がついているタイプのものが良いと考えていますが、道具屋さんでは見かけなくなってきました。刃が厚くて真鍮の板が着いていないものは沢山あるのですが、それだと繊細な削りがし難いのです。
最近の鞄は、カンナをかけずにコバを処理しているものを多く見ますが、やはりカンナがけは必要だと思うのです。
念引きはコバとステッチの間に念を入れるため引く道具です。念を引くことによってステッチが締まって見えます。タンニンなめしの革の場合はそのままでも引けるのですが、クロームなめしの革の場合熱を加えてひきます。一手間かけることで鞄が良くなります。
こういった、大量生産だとあまり使われなくなった道具は、手に入れにくくなってます。
手縫いに使う一寸13目の菱切りも作れる職人さんがいなくなったようで、一寸12目までしか売っていません。
より早く作るための道具は進化しつづけるのですが、より良く作るための道具は消えていきます。
会社は利益を求め続けなければいけない宿命を持っています。それは鞄業界の会社も同様です。だから非効率な作業や道具は消えていく方向に向かいます。
ただ独立系鞄職人の場合は食べてさえいければ、自分の信じた方向性で我儘なカバン作りが可能です。そんな私達が古き良き時代のカバン製造技術を守ってゆく役目を担っているのかもしれません。
Le Bonheur (20:26) | コメント(10)
Comments
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たなかさん
トーラスってなんだったけ?と一瞬考えてしまいました。北欧の極厚革でしたよね。30ミリ幅で税込み14175円で35ミリ幅で15250円です。40ミリ幅だと厚みがありすぎてジーパンのベルト通しに通すことが難しいほど厚い革です。 -
スミマセン…
“トーラス”“タウルス”、どちらでも読めるので、サライ商事さんはどちらの読みを採用してるのか?というトコまではわかりませんでした。 -
サライの常務に正確な素性と名前を聞いておきます。
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オカザキさん
サライの常務さんに聞きました。名称はタウラスだそうです。タンナーは公表しちゃダメと言われましたので、ポルケ社のお友達としておきます。 -
お世話になっております。
“タウラス”はポルケ社の革じゃなかったんですね。
サライさんのHPで拝見した画像を見て、革の表情等からポルケ社のモノだとばかり思ってました。 -
オカザキさんのマウスパットはタウラスです。わたしがタウラスがポルケだと思い込んでいたのです。スウェーデンの某タンナー製の革だったんです。ごめんなさい。
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“タウラス”はデスクマットの革と同じなんですね。
というコトは、サライさんが自社のHPで紹介している革の画像はかなり高画質に思います。 -
いいですね!!
道具へのこだわり
いい道具が少なくなってくるのは
ほんとに残念ですね
私もカバンが作れるようになりたいです
それで松本さんのように話ができればすばらしいなー -
okunoさん
鞄、革の事、私の知っている事であればどんなことでもお話しますので、気兼ねなくおいでください。
凄いなあ。いいなあ。そんな松本さんの生き方、人生を尊敬します。
そんなル・ボナーの鞄が欲しいと、心から思います。
このブログを通じて、生き方や考え方に共感させていただき、私もイコールではないけれど、やはり自分の人生に妥協したくないなあとあらためて思いました。
画像のベルト羨ましいなあ。
ちなみにトーラスでのベルトのオーダーでおいくらくらいですか?
ご迷惑でなければ教えてください。