ル・ボナーの一日
新しくミシンがやって来ます
2006年09月01日
ミシン屋さんにお願いして4ヵ月半、セイコーのTE-2が見つかりました。
今、サーボ付きモーターと一本足で組んでいただき、納入間近です。
私たちは、色々な皮革用ミシンを使ってきました。半回転片送り、全回転上下送り、総合送り。
その結果、私たちにはこの半回転上下送りのTE-2が一番相性が良いことがわかりました。
生地を縫う場合は、最新の総合送りが最善なのでしょうが、革を縫う場合、ステッチの締まり具合が大事で、TE-2は私たち好みなのです。絶妙なステッチの締まり具合と、手回しする時の楽さは最高のアームミシンと思っています。問題点は高回転で狂いを生じやすいということなのですが、そういう条件がうまれるのは大量生産の場合、私たちの今の生産規模であれば関係ありません。
しかしこのTE-2は、量産に適したミシンの開発という流れの中で、生産をやめてしまいました。そのため中古を見つけ出すしか手に入れる方法がありません。
このTE-2は見つかるまで4ヶ月半かかりました。ミシン本体以外は新品で、体力に自身がない私たち夫婦でも使い易いように組んでいただきました。
日本の名人鞄職人の多くも使っている、名機です。
今あるTE-2もサーボ付きモーターに変えてもらい、調整をお願いしてル・ボナーにはTE-2が2台になります。ミシンはこの2台と平ミシンが1台。ミシンはこれでもういいかな。
これでハミと私1台ずつTE-2を使うことになります。
このミシンを探して組んでもらったミシン屋さんは、神戸の下町、長田にある田中ミシンさんです。田中ミシンさんが神戸にあり知り合えたことは、私たちの幸運でした。
阪神大震災の時、神戸で一番の被害を受けた長田の場所で、工業用ミシンの販売、修理を続けられている田中ミシンさんは、ミシンその他鞄縫製に使う機械類の、ル・ボナーにとって主治医でもあります。
TE-2の、今ではメーカーでもストックしていない部品も、田中ミシンさんはストックしています。なので安心して古いミシンも使えます。
東京、神戸と鞄縫製用の機械を色々と、何軒かのミシン屋さんで買ったり修理してもらったりしましたが、今までで一番気持ちの良いミシン屋さんです。商いというより、売っているものに思い入れを持ち、その仕事に愛情を持って接しているのを感じられるミシン屋さんなんです。
田中ミシンのお店に行くと、美しく手入れされた工業用ミシンと70歳を越えた社長と奥さんの笑顔が迎えてくれます。何人かの職人さんが忙しそうにミシンを組んだり修理をしています。奥の倉庫兼社長の工房には再び息を吹き返してもらうのを待つ機械類が山のように眠っています。
私は神戸に来て、一生付き合いたい主治医の何人かに出会えて幸せです。
鞄縫製用の機械は田中ミシンさん。車は西土居モータースの古川さん。チャーはオタニさん。なぜか私の主治医は長田、兵庫という神戸の下町に集中しています。
Le Bonheur (20:57) | コメント(0)
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