ル・ボナーの一日
トナカイの革
2006年08月20日
北欧で作られたトナカイの革が届きました。鹿やカリブーの革は今まで何度か使った事はありますが、トナカイの革は初めてです。
革屋さんの常務の、こんな肌触りの良い革は初めてだという言葉が、私の革マニアの琴線に触れ、使う予定のない革を購入してしまいました。
届いて触ってみて、感動しました。こんなに柔らかくてしっとりとした感触は始めてのものです。
しかしこれが値段が高い。高くて製品にして市場に出すには厳しい。手作りの工房で一点作りで作るところしか使えない。それも柔らかすぎる革だから、作る工房も制限される。
ル・ボナーが取引しているサライ商事という革屋さんは、世界から色々な革を仕入れてきます。
日本でヨーロッパの高級皮革を使っているところは大部分この革屋さんと取引しています。日本を代表する、ヨーロッパの高級皮革を扱う革屋さんです。
多くの革問屋が在庫を極力持たない商売をする中、サライ商事はアメリカ原皮を日本でなめした革の2倍から3倍するヨーロッパの高級皮革を一杯在庫していて、見に行って楽しい。革好きのワンダーランド。
日本の皮革業界の中で、売り上げ高とは関係なく、特別な存在感を持った、革を熟知した革屋さんです。
サライ商事の常務が担当する取引先は、取引金額とは関係なく、扱い難い問題児を担当しているそうです。酔った勢いで言ってました。私もその一人だそうです。
しかし、この革屋さん。売れそうになくても懲りずに面白い革が見つかると、サンプルでヨーロッパから仕入れて来ます。常務はしっとりしたソフトな革が好きです。
そのたびに味見役で、私のところに色々な革が送られて来ます。
味見役なのだから、特別に安くしてくれればいいのに、高い請求書が後から届きます。
何度も、もっと手頃な値段の革を少しは使ってみようと考えたことはあるのですが、一度良い革を使ってしまうと、戻れません。私は高級皮革依存症のカバン職人です。
Le Bonheur (21:07) | コメント(4)
Comments
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ノブさん
テストーニの使っているのはカリブーですね。カリブーはエルメスが革ジャンパーなどでも使っている素材です。今回仕入れたトナカイはカリブーより大きさで3分の1.厚みで4分の1ほどの革で、革屋さんはトナカイの子供だといっていました。革でいうところのカリブー革とは質感が違いシープをマットにした感じです。
今のところ、革マニアのコレクションとして革の棚で熟成の時間を送ることになりそうです。 -
ご自身が高級革マニアだからこそ、私たちはル・ボナーさんの鞄が信頼でき好きなのでしょう。北欧のトナカイと聞いただけで、高貴な感じがします。
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minervaさん
この革で手袋を作ったら吸い付くような肌触りで最高の品が作れると思います。
カバンを作る場合はデザイン的に制約を受ける革ですが、いつか形にしたい大好きな質感の革です。
今朝もハミとチャーの散歩をしながら、良いカバンは素材を生かすことにつきると話しました。これからもその事を肝に銘じてカバンのデザインを考えていかなければと思ってます。
トナカイの革はカリブ革と違うのでしょうか。動物図鑑的には同じですよね。鞄の革としては理想的な素材ということでカリブ革はア・テストーニが取り扱っていますね。どんな形になるのでしょう!