ル・ボナーの一日

日本初かな?「SD版」革試作

2018年07月04日

日本では基本牛革を半裁にして鞣す。それに対してヨーロッパの場合、成牛は両側のお腹部分(ベリー)を裁断し首周りから前足辺りまで(ショルダー)とお尻周り(ダブルバット)に分けてそれぞれ専門のタンナーが鞣す。原皮の価格はダブルバットが一番高くてショルダーそしてベリーの順。それって原皮の背骨部分を中央にする事が目的、半裁で鞣すと中心が革の端になってしまう。機会あるたびにこのヨーロッパ方式の裁断方法で革を鞣してほしいと頼んでみるけれどいつも拒絶されてしまっていた。しかしやっとこの裁断方法で革を作ってくださるタンナーさんに出会えた。

それも質の良い特別な国産黒毛和牛原皮使って。屠殺した時に出る廃棄物扱いの皮は、その後手間を掛ける事で革に変わる。日本の原皮は決して悪くない、ただ欧米のように原皮産業システムが機能していない為に、多くが廃棄されているのが現状。でもそれを変えようとする人たちが日本の業界にもいた。待つこと数ヶ月、試作革が出来上がって来ましたぁ〜!。

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ただヨーロッパ方式とは違ってベリー部分だけを切り落としてショルダー(S)とダブルバット(D)は切り離さずにSD版です。最大長250mmが中心部分です。これなら傷だけ気にしながら無駄なく使える。

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試作にしては革の表情も良い感じ。ベリー部分も、顔料厚く仕上げて延び止の芯材貼って使えば十分用途はあるのだけれど、革の表情活かす表面仕上げして革なりのしなやかさを活かす革製品に使うと支障が出る。

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ステア(成牛)の半裁だと全体の1/3がベリーで裏床は毛羽立っているけれどSD 版だと端まで繊維がしっかりしてる。

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約300デシのサイズ(1デシは10cm四方)。国産黒毛和牛は半裁200デシオーバーサイズなので、100デシオーバーのベリー部分を切り取った事になる。

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実現出来た、これを煮詰め込んで行きます。そして生かせるバッグを作らないと。まずはヨーロッパ皮革高騰で休止中のフラボナシリーズのバッグを復活する時に使ってみよう。楽しみ〜。

Le Bonheur (21:51) | コメント(6)

Comments

  1. みき より:

    >ただ欧米のように原皮産業システムが機能していない為に、90パーセントは廃棄されているのが現状
    まあどなたにお聞きになったのかは存じませんが
    http://www.jlba.or.jp/con07_1.html

  2. Le Bonheur より:

    3代続いたタンナーの方から聞いています。

  3. みき より:

    例えば今年の5月には9万頭屠殺されていますが
    https://www.jazmf.co.jp/files/market/situation/ushi-201807.pdf
    5月の原皮の輸出実績は3万3千頭です
    https://www.jazmf.co.jp/files/market/situation/fuku-201807.pdf
    90%が廃棄されているのであれば、9万頭の1割の1万頭弱しか原皮として流通できない筈ですが
    何故3万3千頭も輸出されているんでしょうね
    うちは4代続くタンナーです

  4. みき より:

    失礼
    今年の4月に9万頭の間違いでした
    訂正致します

  5. みき より:

    >ただ欧米のように原皮産業システムが機能していない為に、多くが廃棄されているのが現状
    サークルさんと同じく、訂正文が入ることもなく、いつの間にか本文が書き換わっている様ですが。
    多くとは一体どのくらいの割合でしょうか?
    具体的に教えて下さい。

  6. みき より:

    タンナーとお知り合いの様ですので、
    日本タンナーズ協会報483号の「成牛皮革消費量の推移」を参考にされてはいかがでしょうか?

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