ル・ボナーの一日

学士会館で結婚披露宴

2016年05月11日

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5月7、8日とお店を休ませてもらいました。30代後半に入った息子が10歳年下のお嫁さんをめとり、その結婚式を東京で8日にするので前日に行った。結婚する二人は沖縄で職に就いているので何も東京でしなくてもいいという思いも私にはあったけれど、学士会員になれた時から思っていた「結婚式をするなら此処で」という思いを息子は実行した。

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学士会館は東京大学が最初にあった場所に昭和3年に旧帝大出身者の会員制のサロンの場として建てられた。今も戦前の昭和を思い描かせてくれる数少ないビィンテージな内外装が特別な時間を演出する。近年会員以外でも宿泊、レストランの利用は可能になり、私も息子に勧められて東京出張時の宿として利用している。今回の結婚式の為、半分ほどの宿泊の部屋を遠方からの出席者用に抑えていた。

息子は現在琉球大学の森林関係の准教授をしている。幼かった頃は全ての発育が遅く、普通の大人になるのは難しいと医療機関に指摘された事もあった。そんな息子は一浪して何とか地方の国立大に入り、その時「興味を持った森林」と「昔風のバンカラな学生寮」が彼を変えた。好きな事は一生懸命出来るし、理不尽な事を強いられる他人との共同生活は社会性の芽を生んだ。その後名古屋大で博士号を取り、京大、九大で研究職に就き、その後現在に至っている。彼は今でもコンプレックスの塊だ。幼かった頃は運動や勉強が秀出てる子供、明るく活発な子供が人気ある。彼はそのどれも持ち合わせていなかった目立たぬ子だった。森林系の研究職に就くと周りは地方大学出は少なく大部分が旧帝大出で基本的な頭脳の差を強く感じた。そんな中で彼は研究者として生き残る方法を見出した。それは研究データーの中から新たな方程式を読み取る力。それを唯一の武器としてこれからも研究者として、この時代に生きた証のような仕事を残してくれると信じている。それにしても隔世遺伝を感じる。私の父は大学の研究職に就きたかったが戦後すぐの頃で食べるのにも困る時代だったので兵庫県の林業試験場に勤めた。その祖父の現役時代を知らない息子が今その職に就いている。そしてそのお嫁さんも沖縄県の森林関係のテクニカル公務員。私が父に何一つ出来なかった親孝行を、息子たちが変わってやってくれて感謝、感謝。

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披露宴会場はクラシックなインテリア。それ風に仕上げた結婚式場では生まれない、年月が醸成した深みがある。新郎側は親族と私の友人を除いて90%が森林関連の人たち。新婦側も親族以外の半分は森林関連。森林分野の日本の頂点・京大の教授や4月にウィーンであった学会に一緒に行った研究仲間たちも、それより何より大学時代寮長してたナカガワ君に逢えて私たち夫婦は嬉しかった。私たちが経験したことのないアカデミックな宴は和やかに過ぎた。

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新郎の父は新郎と新婦の次に儀式の間の担当部分が多い。親族紹介、宴の間に来賓へのご挨拶、親族を代表してのご挨拶。そんなの慣れてないので数週間前からドギマギ動揺していたが、何とか無事乗り切った。私たち夫婦は着慣れない留袖とモーニングを着ることになったが、馬子にも衣装で結構楽しんでいた。写真好きの私は新郎の父でありながら撮るつもりで3台デジカメを用意してきたが、やはり撮れる状況ではなかった。そこで一緒に参列してくれた私の友人にカメラを渡しいっぱい撮ってもらったが、私たち夫婦以外は露骨に出してはいけないと思い公開はこれがギリギリ。

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引き出物は沖縄のお菓子とこの木の文具たち。インドネシアの小さな村の間伐材で作られたこれらの木の文具たちをチョイスした二人。自分たちのアイデンティティーを表現していて素敵です。プライスレスに大事にしたくなる価値を伝えてくれる可愛い文具たち。

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伐採したモッコクの木を輪切りにして、そこにレーザーで焦がして息子の書いた絵。このコースターもプライスレスな価値。

この頃、結婚式の引き出物もカタログから選ぶなんていう合理的な方法もよく見かける、私は新郎新婦二人で選んだ品の方が良いと思うな。上の品々は出席者の多くの皆様に大好評だった。

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多くの人たちに祝福されて二人の結婚式は終わった。そして松本家にお嫁さんが加わった。新婚旅行は時間の都合がつく時に行くとの事。元々日本の自然が好きで海外は仕事で嫌々。2ヶ月に一度のペースで行ってるボルネオの熱帯ジャングルや最初に長期で行ったシベリアのタイガ樹林帯へはまず行かないだろう。多くの研究者が英語をネイティブに話せる中、読むのと書くのは大丈夫なんだけれど話すのが未だに苦手で英会話教室に通っているらしい。

決して心強くはない二人です、故にその弱さを理解し助け合いながら二人が心休まる家庭を作れたらと願っています。私とハミが七転八倒しながら過ごした時期に彼は育った。それは良し悪し両面で大きな影響を与えてしまった。そして私たち二人を反面教師として平和な家庭を作ってくれると思ってます。それにしてもいい結婚式でした。

Le Bonheur (18:24) | コメント(3)

Comments

  1. ノブ より:

    おめでとうございます。人生で最も幸せな時間を御裾分け頂いたような気分です。
    苦労が報われるとは、こういう事でしょうね。
    お二人とご家族の末長い幸せを祈っています。

  2. ゆーすけ より:

    いつも楽しくブログを読ませていただいております。
    本当にこの度はおめでとうございます!
    12年前の自分の披露宴を思い出しました~笑
    息子様ご夫婦、ご家族みなさまの末永いお幸せを陰ながら祈っております。

  3. Le Bonheur より:

    ありがとうございます。

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