50年代のモンブランの書き心地を知って魅了された。モンブランは50年代の特別な書き味がその後万年筆ブランドの中で特別な存在に押し上げたと思う。その書き味は今でも多くの万年筆好きを魅了し続けていてファンは多いが、何せ製造されて70年が過ぎたご老体はその書き味の魅力の代償に非常に老人性骨粗しょう症状態で壊れていく運命にある。私が大好きな50年代の146もその脆いボディーに加えテレスコープ吸入方式という特別な吸入システムが災いして日をおう毎に数を減らしている。私の146テレスコープも数年前滑らせて50cmほどの高さを落下させたらボディーが折れたぁ〜。どうしても復元させたくて海外のペンショーに行く友人に146テレスコープのボディーが健在なジャンクな品があったらお願いと頼んだりしたがみつかっていないかった。そして時が過ぎ、私がその沼に引きずり込んだらしいH女史が去年入手したばかり146テレスコープのテレスコープパーツが壊れて使えなくなって、そのジャンク品を進呈すると持参された。これは喜んでいいのか慰めればいいのか。でも私は数万円払ってでも欲しかったので喜んで無料で感謝して頂く事にした。
ただ何せ老人性骨粗しょう症のセルロイドボディー。分解成功はプロでも五分五分と聞く。壊れてもいいからと名古屋まで行ってボディーが壊れたのとテレスコープ部分の壊れたのとをがっちゃんぽんしてもらおうと思っていた。そんな時、万年筆趣味世界では有名な通称「関西の親方」が来店。どちらにしても分解中に壊れるとしたら誰がしても同じ。外観から想像出来ない繊細さを有する親方に頼む事にした。
最初に突き当たった問題は割れたボディーからテレスコープ部分が取れない。どうせもう折れちゃっているボディーなのでノミとトンカチとペンチ使って割る事に。使えるテレスコープ部分を傷つけないでボディーを割るのは絶妙な塩梅を必要とする。私がノミ当て係で親方金槌で打ち込む係。時間をかけて何とか成功。
次に新たなボディーにそのテレスコープ部分が奥までねじ込めない。70年の歳月がセルロイドボディーの収縮度合いの個体差が邪魔する。半分はねじ込めるのだがあと5mmが。その後七転八倒しながら色々と試みるが5mmはねじ込めないまま午後9時を過ぎたのでそのままペンディングとしてその日は終了。
私は思った。5mmねじ込めない状態で組み上げてもテレスコープ吸入はするのではないかと。翌日早速組んでインクを吸入してみました。おぉ〜ちゃんと吸入する!。5mmの溝は得意の革を埋め込む事でカバー。そしてボンジョルノ特別仕様の「モンブラン146テレスコープ」が誕生した。トレードする気は毛頭ないのでこれで十分満足、いやこの方が特別感あって良いようにも思う。後はインク漏れが発生する可能性は無きにしも非ず。
これでペンケースのモンブランスペースを埋める事が出来た。万年筆趣味、ちょっと復活しつつある今日この頃。
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