ル・ボナーの一日
神戸人の帰神
2006年03月09日
先日、神戸生まれの神戸育ちで、転勤で東京に住むお客さんのN氏がお店に立ち寄ってくださって、成田一徹著のトゥー・ザ・バーという本をプレゼントしていただきました。
N氏は帰神(神戸に帰ってくることをそう呼ぶそうです)すると必ずバーに立ち寄るそうです。N氏は肝臓を患ったためアルコールはだめで、タバコも健康のためにすいません。それでもスコッチウイスキーと葉巻の香りが好きで、バーに行き、バーテンダーとの会話を楽しみ、好きな香りに包まれた空間に身を置くことが居心地がいいそうです。
私は神戸に移り住んで14年になろうとしていますが、つい数年前まで神戸の良さがわからず、東京に戻りたいと思っていました。しかし、神戸を愛する人たちと出会い、ずっと神戸に居続けたいと思うようになりました。皆が皆そうだとは言えないけれど、神戸を愛する人は中庸の豊かさを求めます。頑張りすぎて、はるか先の豊かさを求めて目の前の日々を犠牲にするような生き方はしません。身の丈にあった幸せを合理的に感じ取って生きてます。
モノを買うときも、時間とその空間も含めて買います。ファッションはシックな色の中に、ポイントとしてカラフルな色を好みます。生活をエンジョイするのが上手な人が多くいます。
その中でも、センスの良い老夫婦が目立ちます。年をとっていても身なりに気を使い、夫婦で時間を楽しんでいる様子は、豊かさを共有させてもらえます。三宮のバーに立ち寄ったとき、シックな老カップルが静かにその場の時間を楽しんでいる様は、あまりにも絵になっていました。
街を楽しむ達人たちが多く住む神戸。そんな神戸で私たち夫婦も年をとってゆきたい。日々楽しみながら。ボヘミアンの旅もどうやら神戸が終着駅になりそうです。
N氏にいただいた本に、海文堂のカバーがしてありました。海文堂は昔は海関係の本しか扱っていなかった本屋さんで、元町商店街にある神戸らしい本屋さんです。神戸をあまり知らなかった頃歩いた道も、今歩くと違って見えます。あちらこちらから神戸らしさが顔を見せます。
Le Bonheur (09:45) | コメント(1)
日々、ふるさとの便りを発信いただき、ありがとうございます。
開港のころの神戸の人口はわずか二万人程度、今の百五十万人のほとんどがルーツを他に持つ方々です。したがって、ほんの少し住んでもらえれば「神戸人」と称しても違和感がなく、京都や城下町などにない、みなとまちらしい開放性が神戸の魅力かもしれません。
そんな神戸でも、バブル後の経済の低迷、拍車をかけた震災の影響で、営みを閉じられるお店や職人さんが多く、馴染みのバーでマスターとの話題は、○○の靴屋はすごかったとか、△△の仕立屋は安くて良かったとかの思い出話で終始しています。
しかし、神戸で新しく営みを試みられる方々もおられます。今や、十年続けて頂けたら、十分、神戸を代表する老舗と思います。ル・ボナーさんのことは、震災前から何となくは仄聞していたのですが、明示的に存じ上げたのは東京でのこと、今や神戸を代表するお店の一つです。