スマートだった昔はあまり感じなかった。しかしメタボな現在進行形においては、ベルトの重要性を強く感じる。格好よりフィットするベルト。現在私が常時装着しているベルトは、北欧の大牛の皮を鞣した極厚7mmのタウラスという名の革で作ったベルト。私が知る最も厚みのある牛革。その厚みをシンプルに仕上げたベルトは使い込んでその良さを実感する。
最初は固くてメタボな腰回りに負担を強いると感じた私が10年程使っているこのベルトは、使い込んでこの極厚7mmが良い具合に柔らかさを加えてフィットして、もうこれ以外は使えなくなっている。作りは実にワイルドな一枚仕立てで上等には見えないかもしれないけれど、その馴染み具合はその事に目を瞑る事が出来る。3枚革仕立ての上等なベルトや一枚仕立てに見せかけて実は床革を裏に圧着したベルトとかだと、このフィット感は生まれてこない。
大きな牛の革なので繊維が荒く、10年使って表皮と床の分離が進みひび割れが生じている。でもベルトとしての必要十分な柔軟性はまだまだ継続するというより、こうなってからその特別なフィット感を実感するに至った。その至福のフィット感がひび割れも味わいと納得してしまうオーラを放つ。
このところタウラスで作るベルトは少し紳士チックな上品系のバックルを使うようになった。上の画像の私が使っているベルトのバックルが本来似合う事は重々承知しているけれど、もう今では作っていなくて在庫もなくて使えない。普通のリング付きの真鍮バックル(業界用語だと尾錠)は今もあるけれど、このバックル(尾錠)は左右がカーブしていてただの丸棒ではなくて叩いて平たくなっている。これはアメリカの西部開拓時代のベルトのバックルそのもので、この極めてワイルドなタウラスのベルトのバックルにはバッチリと思った。でもこのバックルも生産中止となりそれに変わる物語性のあるワイルド系バックルも見つけられなくて、泣く泣くバックルは現在上等な品を付けている。ただその現行使っているバックルだと、スラックスで使用しても違和感は少なくなった。
この革を作っていたタンナーもなくなってもう新たに入手は出来ない。しかしまだその極厚7mmタウラスはストックがある。これからも時々楽しみで作ると思うけれどそんなに数は作らないので、ご予約等は受けるとプレッシャー感じるのでご勘弁を。特別な技術はいらないので素人でも作れるベルトではあるけれど、革の魅力が特別を生み出している。前回作った時、コバ塗りしていて染料で少し汚して売り物にならないベルトを新たに使い始めている(少し言い訳ぽい)。まだ固くて腰回りに負担を感じるけれど、数年使い続けた後の至福のフィット感を思い描きながら使い初めたボンジョルノ。
羨ましいですね。普段は、Jabez Cliffのブライドルのたぶん暑さ5mm程度のものを締めております。一番厚いのがヘルツさんのイタリアンレザーのもので5ミリ以上の厚みがあります。タウルスは見たことがありますが、既製品ではもはや入手困難。羨ましい限りです。