ル・ボナー製品はこの六甲アイランドのお店以外でも何軒かのショップで販売していますが、基本オーナーと私が個人的に親しいお店にしか卸していない。これからも大々的には卸しをする気はない。そんな数少ない卸し先の中で唯一実際に訪問していなかったお店が一軒あります。それは名古屋の「PEN LAND CAFE」さん。
私にとって名古屋は鬼門の大都市だ。26年前初めて家族でこの地を訪れた時、宿を駅の案内所でハミが子供を連れて聞きに行った時、私は駅外で煙草をプカプカ吸っていた。その時私に近づいてきたにいちゃんが「良い仕事あるよ」と私に呟く。いくらラフな服装している私であったとしても、日雇いの仕事の勧誘はないでしょう。その上紹介された宿は、パチンコ屋さんが林立するその奥のうらぶれた宿。家族で泊まるのにそれはないでしょう。その体験がトラウマになって名古屋は避けていた。しかしあろうことか、息子はその名古屋の大学に行く事になり一度ぐらいは息子のアパートに泊まってみようと、6年前勇気を持って買い替えたばかりのアルファロメオ145クワドリフォリオ前期型の初長距離ドライブもかねて名古屋に向かった。ナビが付いていたのでセットして名古屋へ。すると一宮でナビは高速道路を降りるように指示が、そしてその界隈の道を知らない私はナビに従い走り続けた。そしたら全然息子のアパートに辿り着けない。神戸から一宮インターまでかかった時間以上を走り続けているけれど着かない。最後は息子に助けの電話を入れてようやく千種区のアパートへ。窓を開けると一面お墓しか見えないアパートだった。深夜やっと眠れると思ったら息子が「幽霊が出るけど気にしないで」と。デリケートなハートを持った私は眠れなかった。その時以来ナビゲーションシステムは取り外している。そんなこんなで名古屋には近づかないようにしていた。
でもオープンしてからずっとル・ボナー製品を売って頂いているのに、一度も実際に訪れてご挨拶してないのはいけません。そして定休日を利用して一大決心して行って来ました。タンクトート(バイオレット)納品を口実に。場所は名古屋でも独特の味わいを持った街らしい大須。オープンする11時前に大須に到着したので街を少し散策した。確かに独特。東京の巣鴨と大阪のアメ村がごっちゃになったような混沌とした街と言いましょうか。面白い。そして「PEN LAND CAFE」に向かった。
ピンクのバクのキャラクターが迎えてくれるのですぐ分かる。左手が動いていたらOPENしている合図。それにしても恥ずかしくなるほど目立つ。これがにぁごや人の心意気か。まずは梦麺88へ。中華食材会社の高木社長さんが満を持してオープンした手抜きなしのラーメン店。誤摩化しのないラーメンを頂いた。やはり真心もって本物を追求した味は別格。一杯のラーメンで幸せも頂ける。
そして2階の「PEN LAND CAFE」へ。狭くて急な階段は一見客を拒む。それに高木社長の趣向が拍車をかける。それでもお店のドアを開けると、英国のパブのような大人な空間に私を招き入れる。流れいるバックグラウンドミュージックはジャズ。これが高木社長の家庭では得られなかった理想の書斎なのか。その空間に高木社長とタンク店長が迎え入れてくださった。元自衛隊で戦車に乗っていたからタンク店長と呼ばれ始めたらしい。この軽食も頂けるカフェの売り上げは萬年筆大部分と鞄少々。カフェ部分は雀の涙?。しかし大須の喧噪を少し距離を置いて眺めながら心地良い時間を過ごせる、子供の心を持ち続けている大人の休息空間。
ガラスケースの中にル・ボナーより高待遇でル・ボナーのカバンたちが鎮座しています。東海地方で唯一ル・ボナー製品を実際に触って見て購入出来るお店。希望の品が並んでいなくても、神戸のル・ボナーにある品は数日お待ち頂ければこの場所で実際に確認してご購入頂けます。
間口が狭く奥行きのあるビル。その屋上からピンクのバク(ブタではありません)を撮りました。何か気になるキャラクターです。ゆるキャラと言うよりシュールな。
趣味も仕事も夢持って一生懸命楽しんでおられる高木社長は素敵な名古屋紳士。これからも一緒に楽しい関係でいたいと思う。今回の訪問でボンジョルノの名古屋のトラウマが解消されたような気がする。これからは気合いを入れなくても名古屋へ行けそうだ。そしてランチは梦麺88でラーメン。イタリアでなくロシアでしか入手出来ないイタリア萬年筆・アンコラの限定萬年筆はいつも限定88本。「梦麺88」と「PEN LAND CAFE」が名古屋に個性的な文化?を生み出す予感。
何か支離滅裂な文章で綴ってしまいましたが、楽しく有意義な名古屋大須での一日でした。帰りの新幹線の車窓から見えた夕空綺麗でした。
御来店ありがとう御座いました、皆さんに助けられながら大須の『ペンランド』もようやくオムツが取れた気がします。夢を求めて半世紀念願だった『ル・ボナー』商品が商いの相棒として日々お客様に提供出来るのは何より嬉しい。縁が新たな縁を生み明日の夢に繋がっていくのは何物にも変えがたい幸せだと想っております。これからも御迷惑でしょうが名古屋のヘンな親戚と思って頂いて宜しくお願い致します。感謝