ル・ボナーの一日
鞄作りのプロを養成する学校
2006年02月09日
渋谷にあるヒコ、みずのという専門学校の方がこられました。
いよいよ来年からバッグメーカーコースという鞄作りのプロを養成するコースを始められるそうです。今まで文化服装学院しか、しっかりとした鞄関係のコースを持った学校がなかったので、ヒコ、みずのさんには期待しています。
鞄関係の仕事に就きたい人の門戸が広がることで、閉鎖的な日本の鞄業界に新鮮な風が吹き込み,魅力ある職種に変わることを望んでいます。
私が協力できることは、手伝っていきたいと考えています。
独立系鞄職人の中では珍しく既存の鞄業界と関わり続けてきた私は思うのですが、鞄関係の専門学校に行く人の多くが、鞄メーカーの企画として就職し、デザイナーになることを夢見ていると思います。それはそれでいいと思います。しかし現状の鞄メーカーの企画の仕事は素材を選びデザイン画を書くだけで、サンプル作りは工場に丸投げのようです。そのためイメージだけが先行した鞄になりがちです。
洋服のデザイナーズブランドのように、デザイナーはデザインだけでなく、パターンも起こせるし、縫製もできる。出来るけれどシーズンごとのコレクションをデザインするだけで手いっぱいなので、スタッフといっしょにやる。コレクションのサンプルの洋服を作る所までは自社内でまかないます。
鞄メーカーの企画も、パターンを起こし最終サンプルまでを自社内で作るような企画に変われば、もっと魅力的な鞄が既存の鞄メーカーから生まれてくるように思います。
デザイナーを志すとしても、鞄をしっかり作れるようになった上で志してもらいたいと願っています。そうすれば日本の鞄業界が魅力的に変わって行くと思います。
お客さんの腕に存在感のある小ぶりの腕時計を見つけました。ステンレスのケースが人ぽい暖かさを伝えるのです。金属は硬度が高ければ高いほど冷たくみえます。だのにその時計のケースは素朴な銀製品のような暖かさを伝え、それでいてしっかり磨きあげられているのです。
お客さんにその腕時計の事を聞くと、それはセドリック、ヨネールという独立系時計士が作ったものだと教えていただきました。そのお客さんは独立系時計士の作る時計を多く輸入されている商社にお勤めの方で、詳しくその腕時計の事を話していただきました。
セドリック、ヨネールという独立時計士は一つ一つのケースを納得ゆくまで独自の方法で磨き上げるそうです。その手間とセンスがやさしい表情を伝えているのだと思いました。
でも、今はこのタイプのものは生産されていないそうです。独立系時計士の多くは資金をだすパトロンがいて、ヨネールさんのパトロンはもっと豪華に見えるデザインの時計をヨネールさんに求め、意見が合わず別れ、この時計の意匠登録はパトロンが所有していたので今は生産されていません。
今日本に二つ残っているそうです。欲しいなと思いました。
人の心をドキドキさせるものは美しいと白州正子さんも言ってました。
Le Bonheur (12:45) | コメント(0)
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