ル・ボナーの一日

イタリア万年筆悪女論

2012年04月14日

IMG_7693.JPG それぞれ万年筆にはお国柄が色濃く出ているなと思う。イタリア好きのボンジョルノは当然イタリア万年筆が大好きなんだけれど、それほど持っていない。9本しか持っていない。でもどの万年筆も馬鹿馬鹿しいほど個性が感じられて手放せない。イタリア万年筆は割高な価格設定だ。それを気にせず買えない私は、チャンスを執念深く待って適正と思う価格で入手してきた。なのでその努力?も加わって特別な9本。基本的にイタリア万年筆の魅力は軸の意匠にある。それもカソリックの埋め尽くし美意識を色濃く反映している。それに加え もしかしたら凄いんじゃなかと錯覚させて虜にする、悪女的要素がそれに色気を加える。実生活で悪女に惚れると極めて悲惨かもしれないけれど、万年筆の悪女性に惚れるならそれほど痛手はないはずだ。きっと。 イタリア製ですべて自社生産している万年筆はそう多くない。多くがドイツのペン先を仕入れて組み上げている。ETA社のムーブメントを仕入れて組んだ時計と同じように。そんな中でマニファクチュールな万年筆作りしているイタリア万年筆の優等生はやはりアウロラでしょう。そんな優等生でも、限定何本と言って限定万年筆を発売して、好評だと倉庫にまだ在庫があったなどと言って追加生産したりする。まあこの程度はご愛嬌と受け止めないとイタリア万年筆とは付き合えない。 R0015260.JPG その存在すらあまり知られていないイタリア万年筆がある。だって地元イタリアの万年筆屋さんでも今までお目にかかった事がない。主なる販売先がロシアらしい。確かにロシア正教的な意匠が多くある万年筆だ。そのブランドはアンコラ。現行品のペン先は外注らしいが、少し前まではイタリアでは数少ない自社製ペン先のマニファクチュール万年筆ブランド。その時代のアンコラの定番万年筆ペルラをどうしても私のイタリア万年筆の一員に加えたかった。そしてそれがやっと今年になって叶った。それもペン先の切り割りが8:2のアンコラらしい1本を。 R0015259.JPG 旧アウロラ88で知ったハイレグなペン先。そのペン先は細い部分が伸びやかで、イリジュウム部分が車のサスペンションのように遊ぶ書き味に魅了された。しかしそれは14金ペン先。18金でイタリア的なハイレグならもっと別次元の書き味を堪能出来るだろうなと思っていた、そのペン先をアンコラというブランドが作っていると知った。そして入手したいと願った。そしてついに今年手に入れる事が出来た。思った通り魅惑の書き味。上から下へと向かう書き味は素晴らしくスムーズ。左右へは8:2の切り割りが影響してなのかちょっとだけ引っかかる。でも私は気にならないとあばたもえくぼ。 多くの甘さが見受けられる完成度。 ペン先の切り割りが中央部分でない事が多い。キャップを止めるねじ切りが浅くて、背広のポケットに挿して使う勇気はない。金属のリングの彫りはまるで夜店で売っている玩具のリングのよう。でもそれもイタリアらしさと思えるボンジョルノはご満悦。 R0015255.JPG お客様にこのイタリアンな万年筆を自慢して見せていたら「あれまぁ〜このリング925っていう刻印してあるよ」と。夜店の玩具のリングなんて馬鹿にしていたそのリングがシルバー素材に金貼りのバーメイルだったとは。益々このイタリアンな万年筆に愛着感じた。 アウロラの85周年レッドを手に入れた時は、悪女ではなく少し派手な良妻賢母だった。一番の悪女はナポリのデルタかと思っていたが、いやいやその上がいた。それがこのアンコラ。限定品の方に目が向かなくて幸いだった。 IMG_72181.JPG お客様所有の限定品のアンコラ三本と私のペルラ。

Le Bonheur (22:00) | コメント(1)

Comments

  1. うにうに より:

    特に素晴らしい細工はありませんが
    イタリアンフラッグの緑を一番使っています。
    毎日がハレではありませんし
    粛々と送る平日に充分なペン先だと
    考えております。
    Re: ボンジョルノ より
    外出時に初めて持って行ったら、
    アンコラがインク漏れしていました。
    でも我慢出来ます。

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