ル・ボナーの一日

ロンジン リンドバーグ・クロノ

2012年02月21日

私は近年大型化する時計サイズに否定的である。小さいのに存在感を持った時計にこそ美があるし付けていてフィットすると言っていた。大和出版印刷の社長が大きな時計ばかり好んで購入するのに対して品がないなんて言ったし、卓袱堂の卓ちゃんがドイツのSinn(ジン)のクロノグラフを自慢げに見せた時「中に入っているムーブメントはバルジューcal7750でしょう?俺はそんな大きな時計(径41ミリ)はいらなぁ〜い」なんて言ったような気がする。そんな風に発言してきたくせに今私は41ミリ径のそれもジンのクロノより厚みがありそうなバルジューcai7750内蔵のロンジンのリンドバーグ・クロノグラフを日々付けて悦に入っている。 クロノグラフも一本は欲しいと思っていた。ただ外径40㎜オーバーは考えになかった。どうせそんなに付けないはずだからやれた味わいの35㎜径ほどのアンティーク・クロノがいつか手に入ればいいかななどと考えていた。そんな時このところアンティークな国産の三針時計を好んで付け始めた顧客のHさんが来て「大きくて家のデスクの置き時計化しているクロノグラフがあるけれどいらない?」とおっしゃる。それもびっくりするほど格安での申し出。大きな時計否定論者のボンジョルノが格安だからと入手したら、踏み絵を踏んでころぶ切支丹と同じだと思いつつ、その誘惑に負けた。人は矛盾を心の内に持っている。それを痛みとして自覚しながらもしてしまう事があるよねと、免罪符を求めるボンジョルノ。 P2160408.JPG 2003年製 ロンジン リンドーバーグ・クロノグラフ。 かつてロンジンはクログラフ時計において世界有数のマニファクチュールブランドとして君臨した。その後クオーツ時計の波に溺れ没落してスウォッチグループ傘下となり今に至る。 IMG_7120.JPG IMG_7121.JPG シースルーバック仕様で複雑なクロノグラフムーブメントを見て楽しめる。丈夫さでは定評があると時計ライターN氏から聞いていたバルジューcal7750。だけど譲って頂いたHさんが帰宅の途につかれた後、すぐにリューズを巻いて時間と日にちと曜日を合わせてさあ始動と思いきや動かない。クロノグラフ初心者の私は何か特別な儀式か操作をしないと動き始めないのかと思ったりもしたけれどそんなはずはない。踏み絵を踏んで転んだ私は、ドストエフスキーの小説の題名「罪と罰」という名がふと思い浮かんだ。なぜだろう?。 このままではこの時計購入に否定的な顧客に笑われる。休日を待って水谷時計修理工房に持ち込んだ。待つ事一週間。動き始めているじゃないですか。原因はケースにムーブメントを固定する部品が折れていて、それが干渉していて動かなくなっていたそうです。「この部品が折れるなんていう修理はめったに無い事なのだけれど」と水谷さん。戒律を破った35㎜径崇拝信者への罰なのか。懺悔〜。この懺悔費用は部品交換とメンテナンスで8000円なり。 IMG_7129.JPG その後ず〜っとこの大きな時計を付けている。今までの時計に比べてかさばるし重いけれど、思ったより邪魔にならない。その上盛り沢山のダイヤルが楽しい。時計はオジさんのおもちゃ箱。その大きな時計に今まで39㎜径のドイツ時計に使っていたクリスペルカーフのベルトを付け替えて使ってみると、純正のピンバックル使っても納まりが良い。大きな時計はDバックル使う方が良いと思っている人が多いと思うけれど、フィットする革の時計ベルトだとピンバックルの方がいい感じと思うボンジョルノ。 初めてのクロノグラフを手に入れて楽しませて頂いております。でもやはり時計は35㎜径ぐらいが良いとはそれでも思っている。でも今年メインで付けるのはこの時計になりそうです。言い訳がましい事を書き続けてしまいました。いや完全に言い訳か。アルファのドライブ時にはクロノグラフが似合う(年間2000キロほどしか乗らないけれど)。明日もこのロンジンのクロノグラフを付けて仕事していると思われます。

Le Bonheur (22:46) | コメント(5)

Comments

  1. Shoestranslator より:

    とうとう買いましたね。同じ時計を持つ、一つ年上の男。私にもベルトを作ってくださいな!!!
    Re: ボンジョルノ より
    思っていた以上に気に入っております。このクリスペルのベルト良いでしょう。でも現在注文をお受けしてないので、見せびらかすだけになってごめんなさい。

  2. H より:

    お、折れてたんですね。
    すみませんね、いらんお金使わせて。
    やっぱり、腕時計ですから、お気に入りの一つになって、使ってもらってるなら、時計も幸せというものでしょう。
    ベルトも、純正のよりいい感じで、これなら本体にも負けずにバランスがいいですね。
    まあ、飽きたら、置き時計にしてください。自転車乗るときは、クロノグラフとして使ってください。
    Re: ボンジョルノ より
    修理に出すというアクシデントが最初にあった事が、余計に愛着を強く感じれた理由でもあるかなと思っています。大変気に入っております。ありがとうございました。当分は置き時計にはならないと思います。自転車の振動を考えると乗る時付けるのは勇気が必要ですね。

  3. 卓袱堂 より:

    あはは!でもイマドキでないデザインが松本さんに似合ってると思いますよ。
    オレの自慢のSinnは、コロンビアの渓流で釣りをしている時に遭遇した鉄砲水に飲まれ滝壺に転落…岸に這い上がった時には腕から消えていました。残念だけど、命の身代わりになってくれたと思って感謝しています。6年間ノントラブルで日差3秒(月差でも30秒以内)を維持した頼もしい相棒でした。水の流れがローターを回し続け、今でも滝壺の中で正確な時間を刻んでいると思うと…ちょっと幸せな気分です。
    Re: ボンジョルノ より
    このリンドバーグ・クロノも現在相当な精度です。バルジュー7750は美しいかどうかは別にして良いムーブメントのようですね。数年前の失礼をお許しください。確かにクラシックな意匠かもしれない。そう言われると益々愛着感じるなぁ〜。

  4. orenge より:

    クロノグラフはいいですね。私も大好きです。2針や3針の時計もいいのですが,クロノグラフは別格だと思っています。特別な時間を切り取れる機能はクロノグラフの特権。クリスペルカーフのベルトは張りがありますね。ピンバックルはシンプルで,時計を置いたときにかっこいいです。手にあとがつくのも少ないです。
    Re: ボンジョルノ より
    ピンバックルが好きです。革ベルトの良さをストレートに伝えるならピンバックルだと思っています。Dバックルは金属ブレスと革ベルトの中間という感じがします。

  5. ともぞー より:

    昨日お邪魔したともぞーです。
    (頂いたフラボナボストン、家でも好評です!)
     このリンドバーグ、初期トラブルが早くに見つかって良かったですよね。
     余りに評価が落ちてしまった哀しきロンジンの中で、このリンドバーグはとても綺麗に光り輝いていましたよ。
     鞄より時計や万年筆に囲まれて嬉しそうなボンジョルノ、それ以上に素晴らしいハミさんと一緒なのが一番羨ましいと思ったヒトトキでした。
     またお邪魔出来る日を楽しみに仕事頑張ります!
    Re: ボンジョルノ より
    知りませんでした。貴方がともぞーさんだったんですね。
    また遊びに来てください。

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