もう使い始めて1年になるシュランケンカーフのライムグリーンのパパスは、今まで使っていたパパスの定番革のミネルバボックスにはなかった魅力を感じている。ミネルバボックスのエージングは特別凄くて、それがパパスの魅力の一つである事は間違いない。シュランケンカーフで作ったパパスにはその部分は期待出来ない。しかし一年使い続けて腰が抜けてそれでも革は痩せていないから、身体へのフィット感やもっちりした手触りが心地よい。その上汚れも吸収するタンニン革と違って、新品時より艶は出ているけれど汚れは感じない。
クローム革の良さを再確認したのがこのクリスペルカーフ使った残心小銭入れ。私が使っている革小物の中で一番ヘビーな使い方をしている品だけれど、その馴染み具合が大変気に入っている。写真左が新品で右が半年以上ハードに使っている品。写真だとその変化は分かりにくい。でも触るとその違いに驚いてしまう。ねっとりしたゴムのような質感に変化している。これからも長い年月革の生命力を維持するであろう事を感じさせる変化だ。
表面をアップで見ると使い込んだクリスペルカーフの表皮は、細かなシボ(ボックス)が新品時よりはっきりしてくる。多くの型押し革は使い込むと、熱を加えて押されたその文様が薄くなる。よくなめされたボックスカーフ系の革は、その逆に変化をするようだ。
ボックスカーフは牛革の最高峰。タンナーはその技術力をこのタイプの革に全力投球する。だからタンナーの技量はボックスカーフを比較すると一目瞭然。ペリンガーが作るボックスカーフが私の知る限り現行の革の中では最高だと思っている。ただボックスカーフは靴用なので、私たちが使うのはその後もう1工程加えたクリスペルカーフ。靴は最終工程においてスミ入れとバフ磨きがあるけれど、カバンや革小物の場合は革の段階でその工程を加えたボックスカーフを使う。そうでないと起毛などの問題が出てしまう。
使い込んだ時に、よくなめされたタンニンなめしの革は、革の魅力をストレートに伝えてくれる。よくなめされたクローム革は革の持つ豊かさを大人っぽく伝える。目ではなくて手触りで。
この所革靴履いて仕事している。そして初めてアッパーがボックスカーフの革靴が加わった。それも初めてのグッドイヤーウエルト製法の紳士靴。マッケイ製法の靴はスリッパ感覚で地面を革底から感じられて気に入っていたけれど、このイギリス靴は足を包み込む感覚で安定感がある。これはこれで面白い。そんな事よりボックスカーフのアッパー部分の事だ。良質なボックスカーフは手ごわい。歩く度に曲がる部分の凸凹が足の甲部分と接触して痛ぁ〜い。親指付け根がその為擦り剥けた。これを靴が噛むというらしい。それでも我慢して履き続けると徐々にフィットしてきて痛くなくなってきた。アッパーに使われている革が上等である事を感じれる。それにしても靴は革の素性が如実に影響を及ぼす革製品だと思う。スニカー党で長らく来た私ではありますが、革靴が面白いと感じ始めている今日この頃。やはりアッパーは良質なボックスカーフが面白そう。苦行を乗り越えないとフィットしてこない根性持った革だけれど。
よくなめされたクローム革の魅力は奥が深い。
こんばんは。
クリスペルカーフの名刺入れを使い始めて1年経ちました。
おっしゃるように、触った感触はは今まで体感したことのないものです。
ポケットに手をいれて名刺入れに触れた時の手触り感、ハッとする時があります。
いつも触れていたい心地よさがなんともいえません。
まさに生きてるみたいな不思議な革ですね。
Re:ボンジョルノより
クリスペルカーフで作った製品は新品時の上品さもさることながら、使い込んだ時の手に馴染む質感は他の革ではなかなか体験できませんよね。本当に良い革だと思います。クリスペルカーフは水拭きした後デリケートクリームをぬるお手入れが良いかと思います。