その痛ましい惨状をテレビを通して見ていると、
脳天気なモノ好きブログを書くのは躊躇う。
しばらくの間私なりに自粛しながら「ル・ボナーの一日」を書く事にいたします。
エレファント革使ったオーダーのブリーフケースが出来上がりました。
エレファントの革は貴重品革の中では私の好きな革です。
革強度が大変ある革で、耐久性も群を抜く革です。
バッグスキン状の深い文様を持った表面は、使い込むと摩擦でツルツルになっていきますが、強度は変わらず持ち続けます。
非常に魅力的な貴重品革だと感じています。
このバッグの注文主は、15年以上前から同じカタチのブリーフケースを革を変えてオーダーして頂いている。出来上がると取りに来られた時に、どうせ2年ほどは待たされるのだからと次回の注文もされて行かれる。現在フルオーダーでのご注文はお休みしているル・ボナーですが、長いお付き合いのこのお客様のご注文は断れない。
神戸に地震があった後もこの方の同じカタチのバッグを作っていた事を思い出す。あの時はイタリア・フラスキーニ社のネットリした独特のイタリアンカーフ使って作ったのを記憶している。
阪神淡路大震災の時、一時加古川にある実家に家族4人で避難していたけれど、何もしない出来ない状態は一週間保たなかった。電気だけは使える状態になっていた六甲アイランドに家族4人で戻り、店頭での販売など出来る状態ではないし、売れる状態でもなかったけれど、仕事が出来る場所は幸いにも無事だった。その当時はオーダー中心のお店だったので、3年分ほどあったバックオーダーを順次作り始めた。その時私は鞄作る事しか出来ない人間だし、それが自身のアイデンティティだと実感した。仕事に対しての集中力もあの時が一番だったように思う。
ル・ボナーのお客様の友人の方が気仙沼でレストランを経営されていて、ご家族は無事だったけれど津波でお店は流された。流されるお店を眼下に見た時の気持ちを思うと、他人事とは思えない心の痛みを感じる。災害があった地域にはそれぞれ個々の小さな幸せがあった。それを全て押し流してしまう。今回の災害の影響を受けないで済んだ私には、私たちが出来る事(募金など)をしていきたい。
私が物にこだわるようになったきっかけは被災でした。阪神大震災直後節水対策のため使い捨て食器とスプーンで食事を繰り返すうち、高価でなくとも愛着のある美しい食器に食事を美しく盛り付けて食事をすることが人にとってはとても重要な事を再確認したからです。そうした日常を取り戻せるよう私達に出来る事を探します。
Re:ボンジョルノより
緊急時には私のしている仕事は何の役にも立ちません。でも少し心にゆとりが生まれた時には、人は心に潤いが必要だと思います。そんな時には私のしている仕事も役立つのではと思っています。