1950年代のオメガのハーフローターです。自動巻機械式時計が作られるようになった最初期にあった機構で、ローターが振り子のような往復運動してゼンマイを巻き上げる。その時奏でるグルッグルッというロータの音と振動が妙に心地良い。ただ耐久性に難があるからか、巻き上げ効率が悪いからなのか、今は作られていない。このタイプの自動巻時計が私は好きだ。だだ中古のハーフローターはムーブメントの部品たちが磨耗していて問題を抱えている事が多々ある。私が持っているもう一つのハーフローターのルクルトのフューチャーマチックは修理代いっぱいかける事になってしまった。このオメガのハーフローターも相当厳しい状態だ。リューズが棒ごと抜けた時にはもうゆっくり眠らせてあげよう思った。そしてそのまま月日が経った。
先日ル・ボナーのお客様の中でナンバー1のブッテーロ革お手入れ名人のFさんが来店されて雑談していた時、お義父さんは78歳にして現役の時計修理職人だという事を知った。その上時計修理職人としての向上心を今だ持ち続けておられて、オリジナルでムーブメントのパーツ作るための設備を整えようとしているのだそうです。その話し聞いていて多いに刺激感じた職人ボンジョルノでありました。
そしてその時思った。このオメガのハーフローターをその78歳の現役時計職人のFさんのお義父さんに診てもらいたなぁ~と。Fさん快く了解して頂き、リューズが棒ごと抜けてしまったオメガのハーフローターを持ち帰って頂いた。
持ち帰って頂き一週間経っていない今日、大事なお昼休みを削ってFさんがその時計を持って来店された。やはりこんなに早く戻って来るという事は修理不可能だったという事かと思い気や、ちゃんと動いているではありませんか。それもハーフローター独特のグルッグルッという音色と感触に重厚感が増したように思える。精度も50年以上前の時計にしては十分だ。という事はもう御陀仏かと思っていたオメガのハーフローターの復活か~?。
イヤイヤそんなに簡単な事ではなかった。聞くと裏蓋開けてムーブメントを診てみると、磨耗した部品が相当見受けられるそうで、応急処置はしたけれどアクシデントがまた発生する可能性大なり。なので部品が揃い次第大手術決行をお願いした。その日まではリューズ巻かずにハーフローターの自動巻オンリーで可動し続ける事にしよう。フューチャーマチックと違ってパワーリザーブが無いからゼンマイの巻き上げ具合は分からないから、この時計をグルッグルッという音色感じながら毎日お供してもらい、停止させる事なく動き続けてもらう。
それにしてもこの時計良い。ダイヤルのやれ具合が渋くて、ケースのカップゴールド(金張り)のエージングも味わい増している。ルクルトと違ってオメガだと短い時期製造のハーフローターのムーブメントの部品だとしても、まだ入手出来る可能性は高い。つまりスイス本国送りの修理でなくても可能なはず。そしてこの後50年また動き始める。1950年代のモノたちが愛しい。
作り手の思い伝わるモノは、その思い使い手にも伝わり長く生き続ける。そして78歳で現役の時計修理職人さんと出会い、よりこのオメガのハーフローターが輝きを増すように思うボンジョルノでありました。やはり時計も面白い。
オメガの初期ハーフローターのクロノメータを所持しています。なんともいえない感触がいいですよね。
修理ですが、オメガは、現在でもスイスでコンプリートサービスを受付けています。
戦前のモデルでも、ほぼ完全に修理して2年間のメーカ保証もつけてくれますよ。
http://www.swatchgroup.jp/cs/pdf/omega.pdf
Re: ボンジョルノより
と言う事はコンステですか。
情報ありがとうございます。
活用させて頂きたいと思います。
その前に知り合った市井の職人さんとの繋がりを、
楽しみたいと思っています。