ル・ボナーの一日
ティアの里帰り
2010年09月14日
ル・ボナーのレディースバッグを代表するカタチ「ティア」です。
このカタチの原型はフランス・H社のガオGaoというバッグですが、
まるで別物へと昇華出来ている思っています。
ハミの鞄職人としての技量が遺憾無く発揮されたカタチです。
内縫いが生み出すふくよかなボリューム感と、
強度を必要とする部分の優美な頑強さが合間って、
特別なフォルムが生まれる。
こういった表情ある内縫いはハミの真骨頂。
私はこのカタチ造り出せない。
ハミが「ティア」を作り始めて、もう7年ほど経っています。
5年ほど前に購入された「ティア」がメンテナンスで戻ってきました。
革は年月経つと痩せてきます。
少し不安を持ちながら包みを開けました。
包みから解放されたティアは、5年使い続けられたとは思えないほど凛としたカタチ。
革の表面の汚れが気になるとの理由でのメンテナンス依頼。
内縫いのバッグの問題点である角の擦り切れも発生していなくて、
それ意外に手を入れる部分はない状態だ。
ネイビーのシュランケンカーフも水拭き乾拭きを繰り返して、
少しデリケートクリームをすり込んであげれば、
購入時の状態に限りなく近づくはず。
革は5年も経つと少し痩せているはずです。
でもショルダーの付け根のボリューム感も、
玉ブチより本体がせり出すふくよかなフォルムも変わらない。
贅沢な裁断、楽しない縫製がそれを可能にしているのだと思う。
それと使う人の愛情が加味して特別であり続ける。
作った品がこういった形で里帰りし、
しばらくの休息の日々を過ごした後、
また一緒に思い出共有する御主人の元へ。
それを見届けられる作り手は幸せだ。
Le Bonheur (22:05) | コメント(0)
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