ル・ボナーの一日
オール日本製の牛革「クロザンカク」
2010年07月30日
私は本当は使う革も日本製を使えるものなら使っていきたいと思っている。
良い革を作れる技術力を日本のタンナーは持っている。
でも価格ばかりを意識した革作りのため、何度も失望させられてきた。
でも希望は失っていない。
輸入皮革を主に扱うサライ商事の常務から、
「面白いオール日本製の革がみつかったのだけれど」と話があった。
国産黒毛和牛を原皮に、姫路革の伝統なめし技術である白なめし技法を使い、
それに漆を擦り込んだ革があると言うのだ。
聞いただけで興味を強く感じた。
しかし値段は日本製牛革としてはめちゃくちゃ高価だし、サンプルの革は見ないままの発注は勇気がいる。サンプルを見ての発注ですら今まで何度も日本製の革では失敗してきた経緯もあって躊躇するボンジョルノであった。
しかし頼んでしまった。そしてその革が今日届いた。
国産黒毛和牛の革を白なめし(菜種油その他ナチュラル素材と大量の水を使ってなめす姫路革の伝統的なめし技法)で仕上げ、その真っ白な革に水性染料を染み込ませ、その上にセミアニリンを塗り、その後薄く型押しして革表面を締め、そして手もみして馴染ませる。それから本漆を4回塗る。驚くほど手間をかけて作った革だ。
実際見て良いと思った。
革と漆のコンビネーションは、鹿革に文様を漆使って判押しした甲州印伝がある。
しかし印伝は漆部分がひび割れてくる。その弱点もこの革はないように思える。
どんな経年変化を見せるかは分からない。分かっていることは日本らしい革を誠意を持って作ったと言う事。
革と漆のコラボレーションに興味を感じていた。しかし柔軟性のある革と硬質な漆という塗料は難しいと感じていたけれど、この革はそれを絶妙のバランスで結びつけている。タンナーが売れる売れないは度外視して、作りたくて作った日本の革だ。
元々剣道などの武具のパーツの材料としてこの革は作られ、色は黒のみだった。
武具のパーツの材料として使われたという事は革の強度は十分あるはず。
そして今回初めてブラウンでも作る事に成功した。
2色揃えば色々な革製品でも使いやすくなる。
シャーク(スティングレー)革の質感持った光沢ある牛革。
まずは秋に登場させる革小物シリーズ「残心ZANSHIN」で、
この漆革をカタチにしようと考えています。
素敵な日本をこの革で表現したい。
この漆革の名は「クロザンカク」黒ザン革。ザンは木ヘンに残のツクリ。
手書きパットなるツールがあることを教えて頂き何とか書けた「黒桟革」。
「桟」は「かけはし」でいけるようだ。
Le Bonheur (21:06) | コメント(1)
昨日は、ながながとお邪魔しました。
きらきら感満点のこの皮がどんなのになるか、期待しております。
Re: ボンジョルノ より
あの「黒桟革」を漉いたり強く揉んで強度&表皮の遊離度を調べたりしていますが問題なさそうです。きっと特別な革製品になってくれそうです。