ル・ボナーの一日
里帰りした鞄たちの集中修理週間
2009年01月06日
ル・ボナーの鞄たちが修理やメンテで沢山里帰りしています。
鞄職人歴30年少しで、神戸でお店を始めて17年目ですから、
巣立った鞄は沢山あり、大事に思って使い続けて頂いてる鞄は、
修理しながら長い寿命を全うします。
そのお手伝いはこれからず~と私がさせていただきます。
昨日3本のメンテと修理が終わり今日も明日も修理とメンテ。
取っ手交換の修理が2本。
手縫いの取っ手は作り上げるのに手間がかかります。
ル・ボナーがオープンした頃作った小ぶりのブリーフケースは、
根革の部分も交換するので、フタの部分のステッチをほどき、根革を手縫いしました。
これで後10年以上毎日ご主人のお供したとしても大丈夫。
コバも磨き直して出来上がり。
このダレスも取っ手交換。
お店を始めるより前に作った、20年ほど使い続けていただいているダレスバッグ。
その頃は取っ手の膨らみ部分を合成ゴムを削って使っていて、
そのため革の油分をその合成ゴムが吸ってしまい、革がもろくなって長持ちしなかった。
その反省から現在は革を削って使っているので格段に長持ちするようになった。
それにしてもゴム芯入れた取っ手で20年持ったこのダレスは驚きです。
タンクトートの取っ手の根革が切れそうになっていてその交換。
本体口元のバインダーしている革のステッチをほどき、裏貼りはがしてから縫い付けます。
新しく付ける根革は使いこんだ根革に比べてふっくらしています。
5年ほど使い続けて革が痩せたのです。
新しい根革も使い続けると他の根革たちと同化してゆきます。
それまでは少し違和感ありますが少しの間我慢してください。
それにしてもタンクトートの根革のふくよかな膨らみを持ったフォルムは好きです。
根革が縫い終えて再び組み上がったら、
お手入れしてリフレッシュしてもらうことにいたしましょう。
明日も修理とメンテの一日。
修理はあまり楽しい作業ではないけれど、
過去に作った鞄たちと再会し多くの事を学べる大事な時間。
明日から作る鞄たちをより良く仕上げるためのヒントをいっぱい提供してくれる。
Le Bonheur (21:37) | コメント(2)
Comments
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私はボンジョルノさんが作るブリーフ・ケースのハンドルが大変好きです。いい感じの膨らみが指の内側にしっくりとフィットし、重さを緩和してくれます。このハンドルを握ると「お~、仕事してるじゃん」という気持ちになります。相当に研究を重ね、時間をかけて作ったんだなあと素人ながら感じ入ります。「エルメスのフィーリングと似ている」とは知人の弁ですが、エルメスを知らない私がおもうのは、万年筆・時計・カメラ・イタ車を語る時のボンジョルノさんが作ったとは信じられないなあということです。ホントに作ったんですよねえ?
Re:pretty-punchan さん
確かにエルメスのハンドルに影響を受けております。
ただエルメスは相当高価な鞄にしかあのハンドルを使いません。値上がった今では200万円以上の鞄でないとあのタイプのハンドルは使っていないと思います。
そしてル・ボナーなりにそのタイプのハンドルを工夫して私が作りましたぁ~!。
信じてくださぁ~い。
モノ好きでただヘラヘラ遊んでいるだけではありませぬ。
実は私はベテラン鞄職人なのです。鞄職人一筋とは言い切れる自信はありませんが。
ル・ボナー松本
やはり、いいですね。
私がル・ボナーさんの鞄に興味を持ったのも、雑誌の写真で見たハンティング キットバックの取っ手の姿の美しさでした。この鞄は私の体格とライフスタイルにはマッチしないこと、何よりとっても高価なので購入できませんが、実物を見てみたいなぁと、あらためて思いました。
Re: ノブ さん
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
ハンティングキットバッグはル・ボナーを代表する鞄のひとつです。久しぶりに今年は作ろうと思っています。オーダーではなくてお店に飾るために作りたいと思っています。私が鞄職人である事を再確認するために。
今年も万年筆道をお互い楽しみましょう。
もうすぐモンブランの254がユーロボックスから届きます。楽しみです。子供の頃のようなワクワクドキドキを感じながら待っております。
ル・ボナー松本