秋です。パナマ帽の季節は終わり、私の服装も秋冬モードに切り替わりました。秋冬の定番はウールのベストにボーラーハットであります。この帽子どう考えても違和感ありありですが、昔から憧れていた帽子なので、かぶり続けまぁ~す。淡いグレーかブラウンのボーラーが見つかれば手に入れたいと思っております。帽子は私の必須アイテムであります。
それにしても、私は昔からどこかバランスの悪い服装であります。ハミにチョイスしてもらった服を着るようになってから、相当にマシにはなったけれど、秋冬の服装になると特にアンバランスが顕著になる。鏡に映して見ると、メタボリ傾向のお腹が一番いけないのは分かっているけれど、それを差し引いても変であります。どうやら靴のように思われます。この服装でスニーカーはちょっと変です。
私は革靴には基本的に興味がなかった。鞄職人である私は同じ革で作る品なので、靴の縫製方法や良し悪しは理解している方ですが、実際に普段履いている靴はスニーカーで、革靴は友人から頂いた冠婚葬祭用のリーガルのアッパーが固ぁ~い黒のフォーマル用しか持っていない。若かった頃は、近所のおばあさんが亡くなった時、お通夜は暗いからわからないと長靴履いて行って、お葬式は靴がないという切羽詰った理由で行かなかった。
51歳にして、私は始めて革靴を購入することを決意しました。
大好きな靴はジョン・ロブのシティー、でもここのところの値上がりで既製靴だのに、15~18万程度するらしい。私には理解不能な値段になってしまっています。オーダー靴は良いと思うけれど、これはこれで25~30万はするらしい。どう考えても、鞄で使う革の量に比べて、全然材料がかからない靴がここまで高い値段するのが納得できませ~ん。
フィレンツェを訪れた時、「マンニーナ」という靴屋さんでオーダー靴の見本を見て、それが気に入った。既製の靴も同じ感じですという店員の言葉に誘われて購入寸前、その時の懐具合を思い出してとどまった。そのことをブログで書いたら、私の時計学の先生、ライターのN氏から、やめたのは正解で、マンニーナで修行した日本人の靴職人がオーダー靴を作っていて、納得価格でオーダー靴を誂えることができますよと教えていただいた。
その靴屋さんの名前は
「てつじ屋」。丁度半年に一回(10月と3月)、芦屋のギャラリーで採寸受注会をされていることを知り、靴好きで、三宮高架下の銀座堂が店を閉めてから失意のうちにいた?印刷屋の若社長を誘って行くことにしました。
「てつじ屋」の作る靴はマッケイ製法の靴です。しかしライターのN氏いわく、既製の機械式グッドイヤー製法の靴より、木型をオリジナルで作ることで履き心地抜群に出来上がるそうです。
私は私だけの足の木型を削るのだから、フォーマルなジョン・ロブのシティーのような内はねのストレートチップを最初に作りたいと考えていましたが、内はねのフォーマルな靴は木型がピッタシ納まってから作ってくださいと言われ、外はねの靴から作ることになりました。
採寸して、何足かのサンプルの靴を履いて具合を見て、注文です。「てつじ屋」ではバタラッシー社のミネルバボックスをメインで使ってます。このタンニンなめしの革を使って靴を作っているのは珍しい。ヒロカワさんのところで、ブーツを作っていたのを知っている程度です。ル・ボナーでもよく使っている革なので、その面白い味わいは知っているので、躊躇なくミネルバボックスで頼みました。
値段は木型代 30000円、靴代47,000円です。木型は靴が出来上がった時一緒に送られてきて、次回作る時からはその木型を持参して、靴代のみです。木型の微調整は、無料だそうです。木型がピッタシの状態に育った時点で、いよいよフォーマルな内ばねの靴です。その時は私の持っているデッドストックの希少ボックスカーフで作っていただけるとうれしいなぁ~。
ハミには、まず私が実験台になって履き心地がよろしいようであれば、外反母趾で悩み普段ドイツの健康靴を履いているハミが、靴の悩みから解き放たれる靴を頼む道筋が出来るよと説得し(完全に屁理屈)、了解を得ました。靴が出来上がってくるのが楽しみであります。
最初の履き心地はグッドイヤー式はマッケイ式に製法上かないません。グッドイヤー式のよさは履きこんでからわかります。松ヤニでかためたコルクが自分の足形になってくるともう手放せません。底の張り替えもウェルトがしっかりしている限りできるので,経済的かもしれません。ハンドメイドが一番ですが,グッドイヤー式は機械でハンドメイドに近づけたものですから,工程も多いですね。しかし,ミネルバボックスで靴ですか。興味ありますね。