東京出張の二日目はフリータイム。前の日の夜古山画伯に、是非フルハルターに行くべきだと言われておりました。イリジュウムの大粒を付けたペン先をパイロットに特注し、いかようにもペン先の研ぎ上げの達人が仕上げてくれる森山スペシャルが今なら3万円で手に入れることができますぞと誘惑する。今までこの口調にのって私のマイ万年筆は数を増やしてきました。今回も非常に魅力的なお言葉ではあったけれど初心貫徹、私は青山学園前の帽子のYAMADAへ。

私はボーラーハットに昔から憧れていた。文学少年だった私は、宮沢賢治や中原中也が被っていた帽子が大好きで、いつか被ってみたいと思っていました。あの時から35年、その思いは消えずに持ち続けてはいたのだけれど、なかなか手に入れる機会に恵まれなかった。
神戸堂でも購入することはできるのですが、取り寄せなので躊躇していました。帽子は同じような形でも自分の頭の形に合わない時があるので、実際に何個かを被って比べて選びたいのです。
そんな時、ライターのN氏が帽子のYAMADAであればボーラーハットを常時何種類も置いてあると教えていただいた。N氏は帽子には興味がないと思っていたら、ボーラーハットも数個お持ちだそうで、N氏の広範なモノ好き恐るべし。
本当だったらライターのN氏主催の東京お宝探索ツアーの中の一軒として行くはずだったのですが、私の東京出張が予定より遅くなってしまい、連絡したらN氏はドイツ取材中。

ボーラーハットはアメリカではダービーハットといい、日本では山高帽と言います。戦前の日本ではよく見かけた帽子ですが、現在ではあまり見かけなくなりました。
帽子のYAMADAには何種類かのボーダーハットが置いてあり、やはりウサギの毛のフェルトをバーナーで焼き固めた本格派が気に入りました。ただ本場イギリス製は日本人の頭の形に合わないようで、選んだのはイタリア製。まずはオーソドックスなブラック。
被って鏡でその姿を見ると、間違いなく違和感を感じる。元々正装の時被る帽子なので、カジュアルな服装しかしない私にはアンバランス。しかし帽子は被り続けることで、その人に馴染んでくると思い込んでる私は、冬場はこれからはこのボーダーハットでいきます。少し恥ずかしいのだけれど、周りのみんなは似合うと言ってくれるので、そのお世辞に気をよくして、名探偵ポワロになった気分で被り続けます。
私は以前から帽子には興味がありました。というのも,背広やジャケットをオーダー(イギリスタイプ)した際にいつも帽子があればいいなあと思っていたからです。でも,なくてもこまることがないので,パナマ帽やフェルト帽などは試着したことはありますが,購入したことはないのです。アウトドア系やキャップなどはたくさんあります。傘はフォックスやピアレス(折り畳み)は持っているのですが,帽子はあとまわしに。やはり本格的な帽子は魅力がありますね。大人の男に許された特権のように思えてきました。