ル・ボナーの一日

イタリア万年筆の光と陰『アンコラ」

2012年02月02日

ず〜っと求め続けていた万年筆がある。その万年筆はイタリアの「アンコラ」。イタリア万年筆の中でもマイナーなこの「アンコラ」を初めて知ったのは、2年ほど前に中国の万年筆を主に扱うお店のサイトを見た時だった。最初はイタリア風中国万年筆だと思っていた。しかし正真正銘イタリアの、それもペン先も自社製の万年筆のマニュファクチュールメーカーだった。豪華絢爛な装飾性の高いイタリア万年筆の中でも、アンコラはうさん臭さも内包してイタリア万年筆らしさの原点を私に感じさせてくれた。1本は欲しいと願った。 その後イタリアに行った時探し回ったけれど出会えなかった。自国のメーカーだのに、アンコラという万年筆メーカー自体知らないと言う。万年筆の先達たちにこの万年筆の事を尋ねると、皆あれはひどい万年筆だよと言う。そんな不遇なアンコラに益々興味を強く感じるボンジョルノだった。アンコラの限定万年筆を入手する機会は2度ほどあった。しかし取って付けたような安っぽいけばけばしさ(それがイタリアらしいと言えば言えない事はないけれど)と、限定21本というイカサマ臭い販売本数に二の足を踏んだ。その方がアンコラらしいと言えばその通りではあるけれど、アンコラはやはり定番の「ペルラ」。そのペルラをついに手に入れる事が出来たぁ〜!。 IMG_6959.JPG このグリーン軸の色合いに魅了される。 R0015199.JPG デザインされたクリップ形状とチープな彫りのアンバランスはアンコラの真骨頂。 IMG_6956.JPG キャップを閉じる為のねじ切り部分が軸先端に切ってあり、 書く時の感触を考慮した工夫はあまり見た事ない。 R0015197.JPG このペン先もやはり切り割りが7:3。しかしそれも愛嬌と思えるオーラを持った?ペン先。旧アウロラと同じイタリアらしさ感じるハイレグの伸びやかな形状のペン先は独特のサスペンションある書き味。ただし切り割り7:3の為横向きに書くと引っかかりはある。でも良きにしろ悪しきにしろ独特だ。 イタリア万年筆の中での優等生はアウロラ。それに反してイタリアらしい危うさと破綻したデザインを持つ万年筆はデルタ以上にこのアンコラというブランドではないかと思う。現在ペン先まで自社生産のイタリアの万年筆のマニュファクチュールメーカーはアウロラとモンテグラッパぐらいじゃないだろうか。アンコラも今ではペン先を他社から供給を受けているようだけれど、このペルラは間違いなく自社製。でないと切り割り7:3は存在しない。この万年筆を眺めているとシスティーナ礼拝堂の絵で埋め尽くされた回廊の天井を思い描くのは私だけだろうか。私だけだろうなぁ〜。 年初めに念願の万年筆を入手してしまった。アンコラはこの1本で十分。これでもう万年筆は上がりぃ〜とは言わない。販促活動の一環としてという言い訳しながら、マイペースでボンジョルノらしい趣向の万年筆に触手を伸ばしていく所存です。

Le Bonheur (09:53) | コメント(2)

Comments

  1. ノブ より:

    ついに手に入れましたか。
    ペン先の見た目はよくありませんが、調整された書き味はなかなか面白いものになると思います。
    Re: ボンジョルノ より
    ノブさんの持っておられる落とすと木っ端微塵になるという初期型ペルラの軸と見比べてみたいです。より美しいと聞いているので。7:3でも大変気に入っております。

  2. pretty-punchan より:

    システィーナ礼拝堂に失礼です。
    Re: ボンジョルノ より
    お久しぶりのコメント嬉しいなぁ〜。
    そうかもしれません。

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